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市民をまきこんだ前代未聞のヤラセ~財産の無償貸付で違法行為⑤

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前市長の最も卑劣な違法行為は、何も知らない市民を巻き込んで、ヤラセの業者選定を繰り返したことだろう。
存在しない法人を「ある」と偽って事業者選考会を開き、「市の事業者選定をパスした」という架空の実績をつくりあげる。「業績のでっち上げ」を、行政が税金を使ってやっていた。そのひとつが2012年2月3日、午後3時からの糸島市二丈庁舎302会議室で開かれた「糸島市林間施設指定管理者選考会」だった。

上記の書類(写真)は、その日、選考委員に配布されたレジュメである。「公募の経過 応募者(株)○○スピリット」と書いてあるが、会社の設立は選考会後の2月22日であり、株式会社というのは明白な虚偽記載である。
市長が任命した選考委員5名のうち、副市長、農林水産部長、農林土木課長の3名は、確実に会社が設立されていないことを知っていた。2名の市民は、市の他の審査会等で委員をつとめている市民から市長が選んだ。税金で日当(費用弁償)を払い、一般の市民を参加させることで、いかにも合法的な選考会に見せかけた。虚偽のレジュメは、真実を知らない市民の委員をだますためだった。

議会を傍聴した方から、「存在しない会社をどうやって業者選定するのですか?経営実績などなにもないのに」と聞かれた。「そんなことは、行政経験豊富な公務員が組織的に行えば簡単です」と答えた。
ふつう指定管理者の選定は、登記簿や経営報告書等を出させて、行政財産を適切に管理する能力があるかどうかを客観的に審査する。しかし会社はないのだから、登記簿や経営報告書は出せない。本人のプレゼンテーションを中心に、「経営者のやる気、熱意」や、「計画」「事業方針」とか、実績など必要ない項目だけで審査して点数をつけた。

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上の写真は、副市長の採点表である。真っ黒に塗られた部分に点数が書いてあるはずである。私が先の9月議会で、「副市長や部長は、存在しない会社に何点つけたのか?」と聞いても、市は答弁しなかった。言えば、存在しない会社を採点したという事実が、明白になるからだ。副市長は、この4年後、市の健康づくり施設「二丈温泉きららの湯」の無償譲渡の審査委員をつとめることになる。

2012年2月3日、(株)〇〇スピリットが「指定管理者選考会をパスした」という実績を作り上げた市は、それを根拠に2月6日、「指定管理者決定書」と「無償貸付の議案」を作成した。この時も会社はまだ設立されていないから、二つの公文書は、明らかに虚偽である。
市は、3月議会に正しい業者選定を行ったと虚偽説明を行い、賛成多数で議決。前市長は3月26日、ついに「林間施設の無償貸付」の契約を結び、市の山林と公園を使ってビジネスをしたいというA氏との約束を果たした。会社設立後、わずか32日目のことだった。
そして4月のある夜、別の課の職員が官製談合で逮捕され裁判中というのに、この件に関わった部課長、議員たちは、A氏と飲食し二次会まで行った。見た人の話では、みな相当酔っていたらしい。市長が命令した骨の折れる仕事を成し遂げて、お祝いをしていたのだろう。それについて市は、当時、「あれは意見交換会だった」と総務部長が答弁した。市と議員と利害関係者との飲食こそ、行政腐敗の根源である。


さて、契約後すぐに会社は、二丈樋の口ハイランド公園に、大掛かりなフォレストアドベンチャーの施設を建設した。しかし会社は資金不足で費用を支払うことができず、7月4日、契約解除に追い込まれた。

7月21日のオープンを前に、突然、経営者がいなくなり、市と口利きした議員たちは慌てふためいた。市の公園に、経営者のいない数千万円のアスレチック施設が出来上がっていたのだから。
前市長は、農林水産部長を東京に派遣し、運営会社と交渉させた。「西日本初のフォレストアドベンチャー」とマスコミで大宣伝してあり、引き返すことはできない。「賃貸料などいらないから、だれか経営してくれ」という心境だったろう。前市長が新しい経営者となる会社と契約を結んだのは、7月20日、フォレストアドベンチャーのオープン前日だった。

いま、数億円で建設された広大な森林公園と建物を、東京の会社がタダ同然で借りて、ビジネスを展開している。漁夫の利とはまさにこのようなことを言うのだろう。