会社の代弁者~議会多数派の横暴②
2017年(平成29年)6月議会で私は、市が神在保育所の財産すべてを応募資格のなかった若尾勉氏に無償譲渡した件を取り上げました。結論から言うと、松本前市長と月形市長が、市立保育所5施設を無償譲渡するために開いた3回の移管先選定委員会は、移管先法人を募集しながら、個人や設立準備会を事業者選定し、移管先法人に決定するという不正を行っていました。
その中には、無償譲渡の議決をしたとき、契約相手方法人が設立されていない議案もありました。
つまり市は、2012年(平成24年)2月6日、フォレストアドベンチャーのため、嘘の林間施設指定管理者決定書を作成し、3月議会に無償貸付の議案を捏造して提出しましたが、それと同じ詐欺行為を保育所の移管先選定でも行っていたのです。
市長が法人格のない団体「いとしま子どもの会」を保育所の移管先法人に決定し、その理事予定者に平成グループの社会福祉法人今山会の元事務局長朱雀静雄氏がいました。今山会の理事長は、(株)へいせいの社長、西原幸作氏です。
私が9月議会の一般質問でそのことに言及し始めると、議員たちは「なんでオマエが朱雀さんのことを知っているんだ」と騒ぎだし、質問が終わると「朱雀さんはもう会社をやめんなった。いま株はもっとんしゃらん」「退職してもうへいせいとは関係なかとばい」「ウソつくな」と口々に言って私を責め立て、あれよあれよという間に懲罰委員会を設置し、三嶋俊蔵副議長が懲罰委員長となり、「伊藤議員は…一般市民の個人名を挙げ、事実と異なる株式の保有状況について言明した…地方自治法違反…」と報告し、議会は私に3日間の出席停止を命じました。(藤井議員と栁議員は反対)
しかし、この10年間に無償譲渡された保育所5件の移譲先が、すべて(株)へいせい社長のお友達関係者だったこと、そのために応募資格のない個人を移管先法人に決定し、虚偽の公文書がつぎつぎ作成されていた事実はあまりに重大です。
9月26日に懲罰を受けた私は、翌日の9月27日、(株)へいせいの元幹部が神在保育所の無償譲渡に関わったことを市民に知らせようと、下の写真をブログにアップしました。(右は拡大)
朱雀氏の名前が右下に載っています。
すると翌日の9月28日、栁議員以外のすべての議員が名前を連ね、私への辞職勧告決議案を谷口一成議長に提出しました。それがこれです。
ブログをアップした翌朝、議員がみんなで「へいせいの内部情報を流したな!許せん!伊藤は辞職させろ!」「そうだ、そうだあ!」となるなんて驚き、あきれました。当事者の会社が「伊藤議員、ブログを削除してくれ」と私に要求してくるならわかります。しかし会社は直接私に何も言ってこないのに、なぜ議員らが怒って私に辞職を迫るのでしょうか?
上の写真は、井上健作議員が議場で辞職勧告決議案を提案したときの発言です。
「伊藤千代子議員は、…いたずらに一般市民の個人名を挙げ、個人の財産情報の一部を示すという糸島市議会の品位を汚す発言を行い、…地方自治法及び議会規則に違反したとして出席停止3日間の懲罰を課せられています…」
品位ねえ。糸島市議会に品位なんてあるんですか?
最近こそ減ったけど、前原市のときから長い年月、ボス議員の暴言恫喝が日常茶飯事でした。(前のブログ参照)
2019年(平成31年)3月議会中、議員全員協議会で議会運営委員会委員長の寺崎強議員が私に「いたらんこったい!オマエから言われることはない。帰れ!」と怒鳴ったとき、誰も注意しませんでした。議長も副議長もそこにいたみんなが沈黙していました。
ボス議員には、だーれも注意しない。女の私にだけ「品位を汚す」と責め立てる。卑怯で卑劣、最低の議会です。
参考までに、なぜ寺崎議員は怒って怒鳴ったか?
市は長年、小島忠義議員(現建設産業委員長)が前原東土地区画整理事業の地権者であることを隠してきた。それで私が「議員が利害関係者であるかどうかは重大なこと。それを隠していたとは納得できない。謝罪を」と発言した。
すると小島議員の友達の寺崎議員が「いつまでも同じことを言うな!」と怒鳴ったので、「ヤクザみたいな言葉を使わないで」と私が注意すると彼は激高し、「いたらんこったい!オマエから言われることはない。帰れ!」と怒鳴ったのです。(ちなみに虚偽答弁した建設都市部長も利害関係者だった。)
下は、井上健作議員の発言の続きです。私の書いたブログが「憲法13条に定められた幸福追求権、プライバシー権を侵害する行為になりかねず、…」と言っています。
また「市民の知る権利の範囲を逸脱している可能性がある」と書いてあります。あきれて笑っちゃいます。下の写真をご覧ください。
私が「神在保育所を無償譲渡する契約相手方の若尾勉氏は、どういう経歴の人か?」と訊くと、市が出してきた履歴書がこれです。1億円近いばく大な財産を無償譲渡する人の履歴書を、市は名前以外公表しなかったのです。それを議会はまったく問題にしませんでした。
いったい「若尾勉」という人物はどういう人で、朱雀氏とはどういう関係があったのでしょう。
また私が「移管先法人の概要はどうなっているのか?」と尋ねると、市が出してきた法人の概要がこれです。
真っ黒けの情報公開で、何もわかりません。一つはっきりしているのは、黒塗りの下に朱雀静雄氏の名前と社会福祉法人今山会事務長の経歴が隠されていたことです。
さて、私への辞職勧告議案は議会運営委員会(堀田勉委員長)でどのように取り扱われたのか? その日の議運の会議録を見てみましょう。
おお…。たった9分の会議。ここには「(株)へいせい」の名前がまったくも出てこない。会社の名前を会議録に残したくなかったんですね。都合の悪いことは公文書に残さない。徹底しています。
それにしても、(株)へいせい社長=平成グループ会長は本当にたいした人です。だってそうでしょう?
自分は社長室にいながら、自分の会社にとって都合の悪い情報を発信する議員に辞職勧告を突き付けることができるのだから。
このとき私はつくづく「議会の議決さえ、この人の強い影響下にあるんだ」と思いました。
あれから3年半。
平成30年1月の市議選で議会のメンバーが多少入れ替わりました。しかし変わらないのは「特定業者優先の政治」「コロナ禍の財政難でも推進する不要不急の大型事業」です。
議会は多数決で予算や契約議案を決定するところ。いったい、議会に会社の代弁者は何人いるのでしょうか?
参考資料
2017年の懲罰と辞職勧告決議のあと、私が書いた議会ニュース「ちよ便り10号」
参考までにこちらもご覧ください。
左は2011年4月に私が書いた記事。右は2012年2月に書いたもの。