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警察の市役所捜査と同時期に不正を計画実行した前市長~財産の無償貸付で違法行為③

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忘れもしない、福岡県警は下水道工事をめぐる官製談合事件で、2012年の1月25日、糸島市役所など10カ所を捜索した。

旧前原市のときに市が発注した下水道工事の最低制限価格に関する情報を、職員が建設業者にもらして落札させた官製談合防止法違反の疑いで逮捕されたため、捜索が行われたのだった。

1月25日の寒い朝、午前10時半過ぎに捜査員が入り、下水道課などで契約に関する書類を押収していった。

当時、松本市長は神妙な顔で「職員が迷惑をかけ、申し訳ない。いっそう公務員倫理と法令順守につとめ、市民の信頼を回復していく」とマスコミや議会に述べた。

しかし、その裏ではぺろりと舌を出していた。
なぜなら、議員が紹介した人のために、木の香ランドキャンプ場や樋の口ハイランド公園(林間施設)の無償貸付を実現するため、部下に命令して「業者選定」のヤラセを計画実行していたからだ。
詐欺師のように「存在しない会社」を使って。

2012年2月13日、建設産業委員会に農林水産部長と農林土木課長が来て、部長はこう説明した。
「林間施設は、森林組合が指定管理者として管理運営していたが、今年度末で契約が満了となるので、2月3日の指定管理者選考会で業者選定した。すばらしい会社だったので、ここに民営化して貸付を検討している」

「その会社の名前は?」私が聞くと部長は、
「株式会社○○スピリット。福岡市内にある会社である。施設を使わせてもらえれば、会社を糸島にもってきて良いと言っている。そうすれば、市の雇用も増える…」と答えた。
そして、「今回、この事業のために設立された」と。

しかし、部長の説明はすべてウソだった。
会社設立は2月22日で、委員会に説明にきたこの日、会社はまだ存在していなかったからである。
部長と課長、市の幹部が二人、委員会に説明にきて、ペラペラとうそをついて帰った。私以外、みんな市長派議員だから、気楽なものである。

2月23日の朝、私は3月議会の議案を議員控室で受け取った。それには、市のキャンプ場と森林公園を10年間、株式会社○○スピリットにタダで貸すという議案が含まれていた。この会社が、前日の22日に設立されたばかりだったと、私はまだ知らなかった。

3月1日に議会が開会し、「民間に無償貸付することで、民間活力を利用でき、市の林間施設が発展する」かのような説明が行われた。
3月6日、私は法務局で調査し、この会社が議会直前に設立された事実を知った。業者選定はヤラセだったのだ。しかしそれを議会で述べても、この議案は賛成多数で可決し、松本前市長は予定通り、3月26日、行政財産の無償貸付の契約を結んだ。

議案採決の日、議員たちは、いつものように議員控室でゲラゲラ笑っていた。市がうそをつくとかつかないとか、彼らにはそんなことはどうでもいいのだ。
議会終了後、夕方から開かれる議会と市の執行部との懇親会に、議会のバスで行くか、自分の車で行くかという話題になっていた。

前市長の恐ろしさは、議会を後ろ盾に、公務員倫理や法令順守を平気で踏みにじる強権性にあった。市役所はまさに私物化状態。
大勢の議員や業者の要望で市長に当選し、圧倒的多数の議員から絶大な支援を受けていたこの市長に、怖いものはなかった。

うそもヤラセも平気。利害関係者との飲酒も平気。
議会が守れば、クロもシロになる。
長年の行政経験で、法律のウラを知り尽くした「市長」だった。

2012年、入札の情報をもらして逮捕された職員は、有罪となり、公務員の職を失った。マスコミに実名で報道され、地位も名誉も失った。
しかし、彼と松本前市長とでは、どっちが悪いだろう?卑劣なのは、どっちだ?

部下にヤラセの業者選定を実行させ、「虚偽公文書の作成」という犯罪行為を命じ、議会で虚偽の説明をさせ、地方公務員法や地方自治法に違反した不正を、市役所ぐるみで行ってきた前市長。
行政権力と議会権力に守られて、やりたい放題だった。
市民の信頼を裏切り、利害関係者のためには何でもするという、ゆがんだ市役所に変質させた彼の責任は重大だ。

行政のトップにあって、恐ろしいはずの警察さえ手玉に取り、詐欺師的手法を駆使して、大切な市の財産を無償貸付どころか無償譲渡した。その手口を調査すると、「ウソとヤラセの天才」というあだ名がぴったりの実像が浮かび上がってくる。

それについては、資料をもとに後日解説する。