福岡県保護司会連合会瀬戸会長が関与した
「市役所ぐるみの不正」について
①広報いとしま2023年11月号
昨年の広報いとしま11月号「糸島人(いとしまびと)」に、「保護司活動23年 安全で寛容な糸島づくりに尽力」との見出しで、昨年5月、瀬戸氏が福岡県保護司会連合会会長に就任された記事が紹介されていた。
同氏が、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支え、犯罪予防活動に取り組む保護司として23年間にわたり尽力してこられたことには深く敬意を表する。
しかし、瀬戸氏が糸島市農林土木課長だった2012年1月から3月、同課が所管する林間施設の無償貸付をめぐって、松本嶺男市長のもとで、谷口俊弘副市長、洞孝文農林水産部長とともに、市役所ぐるみの不正に関わった事実があり、それを公にせず責任をとっておられない以上、県保護司会連合会の会長就任には「疑問がある」と言わざるをえない。
②2012年林間施設をめぐる市役所ぐるみの不正とは
氏は2011年度、糸島市の農林土木課(現農地整備課)の課長だったが、同課の所管には林間施設の管理があった。
林間施設とは、糸島市森林公園真名子木の香ランド(キャンプ場)と糸島市森林公園樋ノ口ハイランドのことである。
市はこの2つの施設でキャンプ場の運営、林業振興、研修、森林レクレーションなどの事業を行なっていた。
ところが2011年12月16日、松本嶺男市長(当時)は、公明党笹栗純夫議員の口利きで面会したA氏に頼まれ、林間施設をフォレストアドベンチャーの営業に使わせる約束をした。
市はその目的を達するために、2012年1月から3月にかけて、数々の違法行為を実行したのである。
※林間施設は1993年頃、福岡県が森林保全と林業振興、県民の憩いのために4~5億円を投じて建設し、市に移管したキャンプ場と森林公園であり、国の補助金を使って建設された行政財産であった。本来は20年も経たないうちに普通財産にして営利企業に貸し付けることのできない施設だった。
しかもそのとき、市は下水道課職員の官製談合事件で福岡県警の家宅捜査を受け、全国ニュースになっているときだった。下のブログを参照
③2012年1月 林間施設指定管理者募集で不正
市がまず行なったのは、農林土木課による「林間施設の指定管理者募集」である。
当時、林間施設は指定管理者の「森林組合」が管理し、キャンプ場の運営や広大な森林の保全に力を入れていた。
しかし市は、森林組合に応募を辞退するよう働きかけ、1月27日、A氏の会社(設立予定)だけを応募させた。
A氏の会社は設立されておらず、応募に必要な定款、事業報告書、貸借対照表、財産目録の書類を提出できなかったが、市は申請書を受理した。
農林土木課に会社経営者の身分証明書として提出されたのは、A氏の自動車運転免許証のコピーだった。
④同年2月3日 指定管理者選考会で設立されていない会社を「株式会社」と偽り審査
これは選考会の日に配布された会議資料である。日付は平成24年2月3日(金)15時から。場所は糸島市役所二丈庁舎302会議室。
会社が設立されていなかったにもかかわらず、「応募者(株)ネイチャースピリット」と書いてある。(行政文書の虚偽記載)。
この資料にそって選考会を進めれば、市の企てを知らない一般市民の選考委員は、法令を順守した公の会議であると思わされたであろう。
これはその時の選考委員の名簿。市長が任命した委員は5人。谷口俊弘副市長、洞農林水産部長、瀬戸農林土木課長、市民は2人。費用弁償はひとり4900円。
市の庁舎を使い、幹部職員を使い、税金から日当を出し、実在しない会社を「株式会社」と偽ってヤラセの指定管理者選考会を開いた。
これは、幹部3人が実在しない会社を審査し、点数をつけた採点表。これで審査に合格したという偽りの実績を作った。
⑤同年2月6日 設立されていない会社を「株式会社」と偽り「決定書」を作成
これは、2月6日に林間施設の指定管理者を決定したという公文書。2月3日に指定管理者選考会を開催した結果、(株)ネイチャースピリットを選定したとの記述があり、右から順に松本嶺男市長、谷口俊弘副市長、洞農林水産部長、瀬戸農林土木課長など8人の職員の印鑑が押してある。
しかし、これは明白な虚偽公文書である。なぜなら「(株)ネイチャースピリット」は、このとき設立されていなかったからである。
⑥同年2月13日 建設産業委員会で虚偽説明
これは、建設産業常任委員会の会議録。出席者は浦伊三次委員長、寺崎剛副委員長、委員は伊藤千代子、笹栗純夫、堀田勉、田原耕一、小島忠義、中村進。農林水産部から洞部長と瀬戸課長が出席した。A氏に口利きした議員、A氏から飲食の接待を受けた議員が含まれる。
この会議で、H部長は「林間施設の指定管理者の公募を行なったら1社から応募があった」と説明した。
私が「応募のあった会社の名前は?」と聞くと「株式会社ネイチャースピリット」と答えた。このとき部長がニコニコしながら「素晴らしい会社です」と言ったのを覚えている。
しかし、このときもまだ会社は設立されていなかった。
⑦同年2月22日 会社設立
これは、株式会社ネイチャースピリットの登記簿。会社設立は平成24年2月22日。したがって、上記の決定書や市の説明はすべて虚偽だった。
⑧同年2月23日 無償貸付の議案を議員に配布
(株)ネイチャースピリットが設立した翌日の朝9時に、議員全員に配布された議案である。
林間施設(森林公園真名子木の香ランドと森林公園樋ノ口ハイランド)の広大な公園用地と市民サービスのために作られた建物のすべてを、前日設立したばかりの会社に、10年間、無償で貸し付ける内容になっている。
市民のためのかけがえのない財産を私物化した、詐欺師顔負けの恐ろしい議案である。
無償で貸し付ける土地の目録~土地の面積は32万平方メートル
無償で貸し付ける建物の目録~大研修棟、小研修棟、バンガロー、事務所など14棟
⑨同年3月 市長が無償貸付の議案を提案、契約へ
同年3月1日 市長が無償貸付のための議案25号を議会に提案
同年3月6日 建設産業常任委員会で可決
同年3月24日 市長が会社と仮契約を結ぶ
同年3月26日 議会が議案を議決
※林間施設は、その後、紆余曲折を経て、2012年7月、森林公園樋ノ口ハイランドだけが(有)パシフィックネットワークという会社に、議会の議決を経ず、つまり違法に、年間約10万円で10年間貸し付けられた。
森林公園樋ノ口ハイランドの違法貸付は、松本市長から月形市長に引き継がれた。
⑩公務員による文書偽造は犯罪
市は、この件で決定書、議案、契約書を偽造する重大な違法行為を行なった。刑法156条には「虚偽公文書作成等罪」が定められ、刑事訴訟法第239条第2項には「公務員の告発の義務」が定められている。
この10年、私は議会で何度も「公務員による文書偽造は犯罪ではないのか?責任を取れ」と主張してきたが、松本前市長も谷口前副市長も月形祐二市長も馬場貢副市長も「事務は適正。問題ない」と答弁しつづけた。
歴代議長、議会運営委員会は、市のこれらの違法行為をすべて無視、ときには擁護し、反対に私の質問を妨害し、責め立てた。
私は、多くの職員が上司の命令と同調圧力によって数々の違法行為に加担させられたと考えている。
しかし、法令を遵守すべき公務員が、誰も彼も口をつぐんで真実を語らずにいたら、永遠に行政組織の不正はなくならないだろう。
それは、市と市民にとってあまりに損害が大きく、不幸なことである。
実際に市は、その後も保育所の移管先選定や数々の事業者選定で、架空法人を当て馬に使ったり、応募資格のない者の申請書を受理して内容虚偽の行政文書を大量に作成した。長年に渡り、市民は「知らぬが仏」の状態に置かれている。
私は、福岡県保護司会のトップに立たれたS氏に「それでもいいのですか?」と伺いたいのである。
⑪今も続く森林公園の「議決なき違法貸付」〜住民訴訟を提起
2023年3月28日、月形祐二市長は、森林公園樋の口ハイランドの土地、建物すべてを有限会社パシフィックネットワーク(代表取締役 金丸一郎)に、さらに10年間、年額11万1,670円で貸し付ける「事業用定期借地権設定及び定期建物賃貸借予約契約を締結した。
そして4月28日には、水産林務課長を代理人として福岡公証役場に派遣し、借地借家法に基づき事業用定期借地権設定及び定期建物賃貸借公正証書を作成した。
この不公平極まる契約は、地方自治法で定められた議会の議決を経ていない。その上、会社の住所は現住所ではない。
それらを堀田勉議長、井上健作副議長、議会運営委員会は熟知しながら容認している。
私は、昨年7月住民監査請求を行い、9月住民訴訟を提起した。
2020年10月発行の「ちよ便り」19号。このビラは政務活動費で発行し1万2千枚配布。ビラの内容について市や議会、利害関係者等から苦情はあっていない。
詳しくは下のブログ参照
〇住民訴訟を提起~パシフィックネットワークへの違法貸付について
無償貸付と無償譲渡をめぐる「市役所ぐるみの不正」についてのブログ
5)契約相手方法人は設立されていなかった~市立保育所の無償譲渡
27)違法に便宜を図る会社に市長が感謝状
市長が不正に関与した人を政治倫理審査会委員に任命
①広報いとしま2023年11月号「政治倫理審査会」
昨年の広報いとしま11月号に、月形祐二市長が政治倫理審査会副会長仲西まゆみ氏から審査意見書を受け取ったニュースが載っていた。
政治倫理審査会は、市長や議員が自己の地位による影響力を不正に行使して利益を図らないよう資産報告書の審査を行うための機関であるが、委員の任命権は市長にある。
私はこれを読み、市民を馬鹿にしている、茶番だと思った。なぜなら仲西まゆみ氏は、2014年に行われた市立保育所の移管先法人選定において実在しない架空法人の「施設長」を名乗って事業者選定に関与していたからである。
市長はそれをよく知っており、自らもその不正に関わって重要な役割を果たした。したがって、お二人は一緒に悪いことをした仲間であり、政治倫理を語る資格などない。
②広報いとしま2013年11月号「法人募集」
話は10年前にさかのぼる。
2013年11月、市は長糸保育所と深江保育所の民営化を口実に移管先法人の募集を発表した。それが上の「広報いとしま11月15日号」である。
広報には「民間移管先の法人を募集します」と書いてある。移管先法人に選ばれると、2015年4月1日、市から保育所の建物・設備・備品すべてを無償で譲渡されることになっていた。
建物は立派でピアノや厨房機器をはじめ、それぞれ3千点もの設備、備品がそろっていた。そのうえ、市から交付される保育の委託料は年間およそ1億円程度の予定だった。
市に代わって2か所、180人の児童を健全に安全に保育できる移管先法人の選定は、条例や規則に基づいて公平公正に行われなければならなかった。
しかし、事業者選定でヤラセをした経過を見ると、無償譲渡先は始めから決まっていた。深江保育所は、元前原市長春田整秀氏の社会福祉法人春陽会に。長糸保育所は、無償譲渡は2回目の社会福祉法人秀美会に。
③実在しなかった「社会福祉法人碧晟会」
長糸保育所と深江保育所の移管先法人の募集期間は、2014年1月20日(月)~2月28日(金)だった。それに応募したのは、
1、社会福祉法人碧晟会(へきせいかい)
2、社会福祉法人ますみ会
3、社会福祉法人秀美会(しゅうびかい)
4、社会福祉法人春陽会(しゅんようかい)
の4つの社会福祉法人だったが、社会福祉法人碧晟会は実在しない架空の法人だった。しかし市は、碧晟会の申請書を受理して法人選定に参入させた。
それはなぜか?
ヤラセの法人選定には当て馬が必要だったからである。
④糸島消防の幹部職員が法人理事長になりすまし応募
2014年2月19日、社会福祉法人碧晟会が市に提出した「移管先法人申込書」である。
糸島市長 月形祐二様
(申請者)法人名 社会福祉法人碧晟会
理事長(代表者)名 仲西徹登
と書いてあるが、事実ではない。平成26年2月19日、仲西徹登氏は糸島消防本部次長の職にあり、月形市長の部下だった。同氏が糸島消防を退職したのは同年の3月末日である。
したがって、社会福祉法人碧晟会 (へきせいかい)は、糸島消防幹部が理事長になりすまし、事業者選定に応募した架空のニセ法人だった。
それを同じ執行部仲間の部課長らはみんな知っていた。谷口俊弘副市長も馬場貢部長(現副市長)も見て見ぬふりをして、市役所ぐるみの不正を実行したのである。
⑤「法人代表」として面接を受けた仲西氏
2014年5月30日金曜日、13時半、市役所第二庁舎3階会議室で、市長が任命した9人の委員によって、「保育所移管先選定委員会」が開かれた。
面接審査(プレゼンテーション)は、それぞれの法人に対して30分。ここで選ばれると、深江保育所と長糸保育所の財産(建物、備品)をすべて、3月議会の議決を経て無償譲渡されることになっていた。
このとき、審査会は「碧晟会」が法人ではないとわかっていながら「法人」とみなして面接した。
その面接に碧晟会の代表として出席したのが、仲西徹登氏と仲西まゆみ氏だった。仲西徹登氏は「理事長」として、仲西まゆみ氏は「施設長」として、それぞれ市に履歴書を提出していたのである。
⑥市長が法人決定書を決裁、部長が無償譲渡の議案を作成
2014年6月16日、ヤラセの事業者選定の後、移管先法人に春陽会と秀美会が選ばれ、月形市長が決済した。それに市長以下、谷口俊弘副市長、井土敏幸人権福祉部長らが印鑑を押した。
自作自演のヤラセによって事業者選定をした結果の決定書であり、本来は無効であった。しかし、この決定書をもとに、井土人権福祉部長は財産処分の議案を作成し、市長が12月議会に提案したのである。もちろん、谷口副市長、馬場貢健康増進部長(現副市長)らも承知のうえである。
議会で井土部長は「応募の基準は社会福祉法人に限定した」と虚偽説明し、架空法人を参入させた事実を隠した。
この議案を審査したのは、市民福祉委員会だった。委員会のメンバーは、
委員長~井上健作、副委員長~松月よし子、委員~浦伊三次、三嶋俊蔵、黒田公二、徳安建成、田中菊男。
田中議員は2016年5月に覚醒剤の使用・所持で逮捕され、辞職。
井上議員の委員長報告は、「財産の処分についての2議案は、執行部より提案理由の説明を受け、討論、採決を行った結果、全員賛成で原案通り可決」となっており、何一つ応募書類の審査をせず、現地調査もせず、市の言いなりに賛成したことがわかる。議案を採決したのは、浦伊三次議長。
なお、この市民福祉委員会は、2016年度に神在保育所の無償譲渡及び、二丈温泉きららの湯の無償譲渡の議案も審査し、可決した。応募書類の審査をせず、現地調査をせず、市の説明だけで賛成した。
⑦行政文書には無数の虚偽記載
2007年に松本嶺男前市長が井原保育所と雷山保育所を、2015年に月形市長が深江保育所と長糸保育所を、2017年に月形市長が神在保育所を民間に移管したが、すべて架空の法人を参入させていた。
全員が違法行為を認識していたわけではなかったろうが、市長、副市長、部課長、職員、元職員、行政区長など数百人が関わって、多額の財産を元市長や建設業者のお友達等に無償譲渡したのである。それぞれが自分の役割を果たし(演じ)、めでたく契約が整えば「今度も上手くいったぜ」と手を叩いて喜んだであろう。
市は違法行為に関わった職員や地域の有力者らをさまざまな要職につけ、天下りさせた。
馬場部長は副市長に就任し、谷口副市長は引退後もずっと行政区長である。井土人権福祉部長は現在、市商工会の事務局長、洞総務部長はシルバー人材センターの事務局長である。
仲西まゆみ氏は、政治倫理審査会委員、都市計画審議会委員、人権擁護委員にも就任している。
市の行政文書には、存在しないものを「ある」と偽った不正によって履歴書、申請書、決定書、議案、契約書に至るまで、名前や住所、職業…ありとあらゆる虚偽記載があふれている。
虚偽公文書の作成、行使は犯罪だが、市の違法行為を正すべき議会が見て見ぬふりをし、どんな不正もまかり通ってきた。
庶民はおにぎりひとつ万引きしても罪になるというのに、糸島市の腐敗は底なしだ。
⑧月形市長が自分の支援者の春田元市長に財産を無償譲渡したときの契約書
関連ブログ
参考資料
① ちよ便り20号「市役所ぐるみの犯罪」と書いたこのビラは政務活動費で作成し、2020年1月に1万枚配布したが、苦情等はきていない。
② ちよ便り10号2017年の懲罰と辞職勧告の後、作成、配布。
他関連ビラ
「きさま黙れ!」…あれから25年
①地震、原発、暮らし…100回の一般質問をした議場
写真は昨年12月18日本会議終了後の議場。新庁舎が完成し、1998年から25年間在籍したこの議場ともお別れだ。
初めての一般質問は障がい者福祉の充実についてだった。それから地震、原発、教育、福祉、不正の追及…と、ここで100回の一般質問をした。
法令を遵守しないパワハラ議会で政治が歪められ、税金が無駄遣いされている。市民のために使えば良いことがたくさんできるのに。
議会の構成員として必要な資質や知識を有しておらず、内容虚偽の議案さえ議決する腐敗した議会。反対意見は徹底的に封じ込め、すさまじい同調圧力で異論を許さない。そんな議会はもはや議会とは呼べない。
②「声のでかいもんが勝つ」
私は日本共産党の二議席目の議員として1998年11月の選挙で初当選した。初めて議員バッジを付け、出席した議員全員協議会でのこと。
議長が「議運にお諮りして、今後『議会便り』には発言した議員の名前は載せないことにした。発言した議員の宣伝になる」と言った。
私はすぐさま「議長!」と手を挙げ、「議会はガラス張りにすべきです。発言した議員の名前を載せないのには反対です」と言った。
すると議長は激昂して「きさま黙れ!」と怒鳴り「共産党がぁ」と言った。あまりに大きな怒鳴り声だったので、私は椅子ごと後ろにひっくり返りそうになった。
でもここは議会。きっと誰かが注意するだろう、この非常識な議長を諌めてくれるだろうと様子をうかがった。しかし誰もが下を向いて沈黙し、注意する人はいなかった。
市民文教委員会室に移動後、委員長が私に「ここは声のでかいもんが勝つんじゃ」と言った。「ヤクザじゃあるまいし冗談じゃない。それならできるだけ大きな声で発言しよう」と決めた。
2004年4月発行の日本共産党の「前原の風」から
「夢のあるトンネルを作りたい」春田整秀市長が長野峠にトンネルを掘る計画を打ち出し、それに私が反対したときのビラ。ヤジ暴言がひどく「こんな議会でいいのでしょうか?」という記事を何回も書いた。
③品性も倫理観もない
まだハラスメントが問題にならない時代。当時体重が60キロを超えていた私が廊下を歩いていると、後ろから「尻が石うすのごたるばい」と言って笑う声がした。人権や教育を語る資格のない議員が何人もいた。
公共事業の利害関係者として開発の先頭に立っていた議員、多額の借金を抱え調整区域の土地を売りたがっていた議員、業者のカバン持ちをしていた議員、議員報酬の他に市の補助金団体から月に十万円も役員手当をもらっていた議員、女性に暴行して逮捕された議員、酒の匂いをプンプンさせていた議員、覚醒剤で逮捕された議員…。
25年の間には実に色々な議員を見てきた。しかし「品性がない」「議会を混乱させた」として、懲罰を受けた議員は私だけだ。
市民の傍聴がない議員全員協議会は密室だったから、反対意見を言おうものなら一斉に怒鳴りちらされた。
「黙れ!市が問題ないと言いよろうが!」「反対ばかりすんな」「お前が悪いったい!」「関係なかろうが!」ワアワアワア!…それは会議というより糾弾(きゅうだん)だった。
「いいえ、黙りません!だっておかしいでしょう!」と私は絶対に引かなかった。ひとりで5人、10人相手に激論する修羅場を何十回も経験した。
④反対者には徹底的な嫌がらせ
あるとき職員が挨拶しないので「おかしいな」と思っていたら、「××議員が伊藤議員と親しくしたらお前らも共産党と見なすと言われた」と聞いた。ヤジ暴言が飛び交う前近代的な議会は、言論の府ではなく、多数派が支配する恫喝議員の天国だった。
旧庁舎3階にある議会の廊下。左奥が議場。右奥が議員の控室。
2002年10月、私は臨時議会に出席するため階段を上ったところで待ち伏せしていた10人あまりの集団に突然囲まれた。彼らは元前原町長三嶋兵蔵氏の取り巻きだった。
元町長は引退後も春田市長の後援者として市政に絶大な影響力を持っていた。当時、市は元町長の親族が経営するホテルを通る道路を9億円で建設し、このホテルに6億円の立ち退き料を支払うというメチャクチャな計画を実行しようとしていた。道路の必要性よりも、経営の苦しいホテル救済のための計画であるのは明らかだった。
それに私達日本共産党2人と自民系2人の4議員が反対し、市民の関心も高まっていた。
元町長の取り巻きたちは、議場前の廊下で私を取り囲むと、一斉に「ビラにウソを書くな!書き直せ!」と怒鳴った。私が吊し上げにあっている様子を、××議員がニタニタ笑いながら見ていた。
私は訂正を拒否し沈黙を貫いた。すると10分か15分ほどで「このアマ!」「しおらしい振りしやがって…」とか何とか捨て台詞を残して去っていった。
元前原町長はこの後「名誉毀損」で私を刑事告訴し、私は警察から呼び出しを受けた。しかしビラで反撃すると告訴を取り下げた。
この件では、共産党の男性議員と自民系議員一人が名誉毀損で訴えられ、ひどい目にあった。目的のためには手段を選ばない卑劣な手法は今も同じである。
この道路計画は市長選挙を闘うことでやめさせることができたが、敵は同じような攻撃を次々しかけてきた。詳細は別の機会に書く。
2002年 「前原の風」10月号から
⑤身内の不祥事、違法行為はもみ消す
地方自治上、行政の違法行為は議会が正すことになっている。明白な贈収賄事件でもない限り、警察が選挙で選ばれた市長を捜査するようなことはない。
2005年に自民・公明の支援で市長に当選した松本嶺男はそれをよく知っていて、強大な与党議員団をバックに職員や元職員、地域の有力者らを使って嘘とヤラセの事業者選定を繰り返した。議会での虚偽説明は日常茶飯事だった。
命令通り不正をやり遂げた部下は昇進させ、さらに大きな事業を任せ、天下りさせた。違法行為に関わった可愛い部下の不祥事は「何もなかった」ともみ消し、自らも仲のいい建設業者や議員らと飲み歩いた。政治倫理条例には罰則がないから痛くも痒くもないのである。
有力議員の土地を都市計画で優先的に開発してやり、不当な口利きにも応えてやり、何でも賛成の議会を強固にしていった。
それに九大移転による膨大な利権が絡んでまちを蝕んだ。ある議員は、自分が推進した公共事業で土地が売れカネが入って有頂天だったのだろう、視察先で風俗の女性をホテルに呼んだ。それがよほど楽しかったのか、翌朝ホテルの朝食のとき視察のメンバーらに話した(自慢した?)。
それを私が聞きつけ議長に抗議して調査を求めたが、議長はたじろぎながらも「そんな事実はなかった」とかばって隠蔽した。みんな仲良し。みんな友達。このときのビラ(ちよ便り)は別の機会に公開しよう。
⑥地震の義援金を私物化、流用
能登地震のニュースを見ていると胸が痛む。国は一刻も早く本気で支援に乗り出すべきだ。地震大国でありながら阪神淡路大震災、東日本大震災の教訓が生かされず、備えができていない。それに原発。
腐敗した政治は決して市民、国民を助けない。2005年3月20日に発生した西方沖地震で旧前原市は大きな被害を受け、全国各地から8300万円の義援金が寄せられた。ところが松本市長は、義援金を被災者には495万円しか配らず、市と市内の行政区自治会で山分けするというデタラメなことをした。
市の会計に次の災害のためと1000万円入れ、市内の自治会には「領収書はいらない」と言って総額6725万円を配った。それに議会はこぞって賛成した。(この件はRKBが私の取材にきてテレビニュースで批判的に報道してくれた)。
義援金を私物化し領収書のいらないカネを配ることで地域支配の道具に利用したのだと考えている。
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⑦懲罰の嵐
2010年の合併後、議会のインターネット中継が始まるとダイレクトな暴言は激減した。しかし多数決で徹底的にイジメる手法に出た。
与党議員らは私に「品性がない」「議会を混乱させた」などと適当な理由をでっち上げ、3回の懲罰と2回の辞職勧告を議決した。「真実かどうか」は問題ではないのである。
「広報いとしま」の議会欄に「伊藤千代子議員に辞職勧告」という記事がデカデカ掲載され、全戸配布された。私はストレスで具合が悪くなり胸の動悸に苦しんだ。
2011年「糸島の風」4月号から
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⑧離党
39年の間、私は平和と民主主義を掲げて闘う日本共産党の一員であることに誇りをもって生きてきた。党の躍進を願えばこそどんな攻撃にも耐えられた。
しかし2015年、訳あって私は共産党を離党し無所属になった。市長は2014年の選挙で月形祐二市長へ変わったが、松本市政をそのまま継承した。
私へのイジメ・懲罰はさらに激しくなり、2017年9月議会ではストレスで息が苦しくなり議会から病院へ救急車で運ばれた。
2022年1月の選挙で共産党議員2人が落選し、ひとり野党状態になってしまった。年間700億円にものぼる市の税金の使い道をチェックすることなど到底不可能。
市はオール与党議会でますますやりたい放題。潤のアンダーパスも住民の反対を押し切っていよいよ工事に入ろうとしている。
時代遅れの地縁・血縁・利権の選挙はもうやめよう。税金の使い道を任せられる人をしっかり選ぼう。法令を遵守しコンプライアンスを守る真っ当な市政にしないと、いつか取り返しがつかなくなる。
⑨市役所ぐるみの嘘とヤラセ
昨年12月23日の新庁舎落成記念式典に、松本嶺男前市長と谷口俊弘元副市長(現行政区長)が出席し、来賓席の一番前に座っていた。議会がまともなら役職を追われ社会的に非難されて当然の人たちである。
月形市長は前市長の市政を継続し、保育所の民営化に係る事業者選定で架空法人を使うというデタラメなことをした。
糸島市では応募資格のない申請書を受け付け、内容虚偽の決定書、議案を作成し、それを議会がロクに審査せず議決するという手法で、特定の利害関係者の私腹を肥やしてきた。
関係者が無数の違法行為をスルーすることで、長年に渡り市民や社会を欺いてきた。裁判所のような宣誓、罰則がないから、平気で虚偽説明、虚偽答弁をするのである。
野見山暁治画伯が市に寄贈してくださった「みんなウソ」という絵を多くの人に見ていただきたいと思う。
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⑩真実が大切にされる市政に
この議場では、権力にとって都合の悪い真実が無数に隠蔽されてきた。
文書偽造は犯罪であるが、糸島市には虚偽の行政文書があふれている。多面的機能支払交付金の領収書や指定管理者の決算報告書に事実と違う虚偽記載があっても、決して問題にならない。問題にしない。
地方自治法に基づいて議会が正しく機能しなければ、市役所ぐるみ、まちぐるみ犯罪の温床になってしまう。
私たちは選挙でしか政治を変えることができない。一人ひとりが主権者として税金の使い道、政治に関心を持つことが大切だ。自分達の生活とかけがえのない子どもたちの未来を守るために。
ちよ便り20号~2021年1月号
ちよ便り19号~2020年10月号
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