証人尋問~「迷惑はかけない」と母は領収書を書かされた、環境美化はボランティア活動、日当をもらっていないと農業者…
先週11月17日、福岡地裁で多面的機能支払交付金に関連して、私が泊一環境保全組合らから名誉棄損で訴えられた裁判の証人尋問があった。
原告らは「泊一環境保全組合に不正はない。環境美化活動は農地維持活動である。領収書の偽造はない。伊藤議員の質問、ビラ、ブログで名誉を傷つけられた」と主張してきた。
原告側の証人は、国の検査を受けた令和2年(2020年)2月当時、組合の事務長だった田中幸昌氏(元市の幹部)と住民2名の3人。被告側からは私と住民など4名の5名。計8名が証言台に立った。
証人は尋問に先立って宣誓をし、「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べない」旨を誓った。
詳しい話は裁判の記録が活字となってからにするが、肝心なところを証人の陳述書と私のメモで書いておく。
承諾を得ずに領収書を書いたことをついに認める
被告(伊藤)側の証人Aさんは、領収書の偽造を訴え、市に調査を求め続けてきた告発者のひとりである。「環境美化活動は市道清掃などのボランティア活動。日当の領収書は私が書いたものではない。私文書偽造と思った」と証言。
Aさんの家族Bさんは「令和2年(20年)6月、組長がお金を2万円もってきて、これは環境美化のお金。お父さんに渡してくれと言われたが、領収書の話はしていない。代筆の承諾もしていない」と証言。
それについて、原告の組合側証人のCさんは、Aさんと家族の了解を得ずに領収書を書いたことを認めた。市と組合はこれまで2年以上「家族の承諾を得て書いた代筆」と主張してきたが、それがついに崩れた。
Aさんは19年3月他地区へ転居後も自治会名簿に名前を載せられ、環境美化の日当を受けとったという虚偽の受領書を作成されていた。
「迷惑はかけない」と母は領収書を書かされた
被告(伊藤)側の証人Dさん(福岡市在住)は、泊一行政区で一人暮らしをしている96歳のお母さんについて証言した。
令和3年(21年)7月、県に情報公開請求すると、お母さんが高齢のため参加していない環境美化活動に8回も参加し、日当を1万6千円受け取ったという令和2年6月30日付の領収書がでてきた。
驚いてお母さんに話を聞くと、この日女の人が二人たずねてきて「迷惑はかけないから領収書を書いてくれ。お金は公民館建設に寄付するから」と頼まれた。意味がよくわからなかったが、断れずに領収書を書いたという。
Dさんはお母さんに、そのお金は公金であり、働いてもいないのにお金をもらうのは悪いことだ、寄付は自分のお金でするものだと話した。するとお母さんは考え込んで「詐欺に加担してしまった。死ぬまで刑務所から出れないかもしれない」と悔やんだという。
(市が県へ提出した書類を調べると、90代のお母さんが水路の泥上げに参加した日当の受領書が次々でてきた。それらは他人が書いたものだった。)。
食い違う証言~農業者への日当配布
「令和元年度は日当を受け取っていない」
被告(伊藤)側証人の農業者Eさんは、①環境美化活動で農業用水路の泥上げをしたことはない。それは農区の出方で農業者が行なっている。②泊一環境保全組合の「構成員になる」という意思表示をしたことはない。③(2007年度の設立以来)組合の総会にでたことはない。④総会の案内状が来るようになったのは令和4年度から。⑤農区の出方で毎年6月と10月に水路の泥上げ、農道・ため池の草刈りに参加しているが、ずっと日当はでなかった。はじめて日当が支払われたのは令和2年(20年)6月の農区の出方の後で、ひとり8千円が交付金から支払われた。⑤出方に参加しないと出不足金を取られる。
Eさん名義の領収書、受領書があるが、それらはどれも本人が書いたものではなく、名前の漢字が間違っているものまである。
「令和元年度も日当を受け取った」
原告組合側証人のFさんは、令和元年度(19年)と令和2年度(20年)に農区長をつとめたという。私の弁護人が「令和元年度は交付金から日当を受け取ったか?」と聞くと「受け取った」と答えた。
被告(伊藤)側のEさんは「出方の日当は令和2年度から。元年度はもらっていない」と証言し、Fさんは「元年度も受け取った」と証言した。ふたりの証言は食い違っている。もしどちらの証言も事実であれば、同じ作業に参加しながら、農区長は日当をもらい、他の農業者は日当をもらっていないことになる。
不適切な日当の配布を「平等に配った」と釈明
原告の田中幸昌氏(現在糸島市人権擁護委員、糸島市泊土地区画整理組合副会長)は多弁であったが、マスクで声がこもって聞き取りにくかった。文書ができあがってから詳しく検証する。彼の証言で一番印象に残ったのは「平等に」という言葉である。
令和2年(2020年)2月、市の生活環境課で主査を務める会計年度任用職員だった田中氏は、泊一環境保全組合の事務長だったが、内部告発により中園辰信会長(現糸島市泊土地区画整理組合監事)とともに国の検査を受けた。国は県と市を通じ、中園会長と田中事務長を指導し、未配布となっていた環境美化活動の日当264万円余りの多面的機能支払交付金を構成員に配布するよう求めた。
そのとき、組合は活動に参加していない高齢者や、道路・公民館・公園のそうじをした人たちに日当を配布したのである。元々環境美化活動は市長の呼びかけで行うボランティア活動であり、農業の交付金の対象となる活動ではなかった。
それについて田中氏はお金を「平等に配った」と釈明した。日当をもらう資格がない人たちにお金を配るのは不適切な行為である。それを「平等に配った」とまるで正しいことをしたかのように表現し正当化した。
市の課長職までつとめた事務のプロが「日当は本交付金の活動に参加した構成員に配る」という最低限のルールすら守っていなかったのである。指導した九州農政局や県農林事務所の担当者が聞いたら絶句するだろう。
馬場貢副市長は「適正にチェックしておる。問題ない」と議会で繰り返してきたが、それがいかに根拠のないデタラメな答弁だったかがわかる。
判決は来年の1月19日
糸島市が交付する多面的機能支払交付金は、年間1億5千万円にもなる。すでに20億円ほどの税金が活動組織に交付されただろう。
証人尋問の日、法廷いっぱいの傍聴人が真剣に耳を傾けていた。判決は来年の1月19日。
昨今、行政寄りの判決が多い中で、私が敗訴する可能性も大いにある。そのときは控訴するだけだ。そしてもっと多くの市民に裁判の傍聴にきていただこう。
証人尋問が終わり、夕方裁判所の外に出ると冷たい雨が降っていた。だが私の心も体も温かだった。
不正を告発すればイジメやパワハラにあう息苦しいまちで、妨害に屈せず勇気ある証言をした人たちに私は胸が熱くなった。
2023年11月17日の証人尋問は、違法行為と隠蔽がはびこる糸島市で、法令遵守のまちをつくる一筋の光となるだろう。
多面的機能支払交付金 関連ブログ リンク⇩
〇これのどこが農用地?環境美化のボランティア活動で農業の交付金を不正受給
〇ちよ便り35号~農業者に出方のお金が支払われていない ちよ便り26号、27号、29号、30号、32号、33号、34号、35号参照
関連ブログ2~日当未払いと同じ構図
市「領収書があるから問題ない」
いとう「ウソの領収書が何百枚もある」
13年間 農業者に出方のお金が支払われていない
泊一環境保全組合への交付金総額は4016万円
市長が任命した行政区長=市職員=が会長をつとめる泊一環境保全組合は、2007年度に設立し、毎年約250万円の交付金を市から受け取っています。
市が組合に支出した交付金は、2022年度までで4016万9520円です。しかし組合は、告発があるまで総会を開かず、行政区の環境美化を多面的機能支払交付金の事業と偽り、交付金を水増し請求していました。
そのうえ、実際に泥上げや草刈の出方に参加した農業者に支払う日当を2007年度から2019年度まで13年間支払っていませんでした。
「他地区の農家から、出方に日当が出ると教えてもらった」と言う人たちが、2019年12月、国に告発したことがきっかけで、翌年の6月から、ようやく出方の日当が参加者に支払われるようになりました。
「2020年6月の出方作業のあと、はじめて8千円の日当が配られた。こんなお金があったのかと驚いた」と言います。
私が13年にわたる日当の未払いについて質問すると、市は「泊一環境保全組合から領収書が提出されている。未払いとは認識していない。問題ない」と答弁しました。
しかし農業者は「受け取っていないお金の領収書は一度も書いていない」と言っています。 私は住民に情報公開請求してもらい、県にある領収書を調査しました。
いとう~本人が書いていない領収書がここに20枚ある。日当の未払い、領収書の偽造をなぜ調査しないのか。
副市長~組織からの資料は市の職員が確認した。市の事務は適切だ。地域の問題は地域で解決を。
いとう~副市長は「問題ない」と言うが、冗談じゃない。水路の泥上げと書いたウソの領収書が何百枚もある。一番悪いのは法令を順守せず、組合の不正を握りつぶした市役所だ。
支払わなかった日当のお金はいまも通帳にあるのか?
市は「領収書に印鑑やサインがあれば信用するしかない」と答弁し、領収書さえ出れば、お金が支払われていなくても「問題ない」という立場です。
しかし交付金は税金です。13年も農業者に支払わなかった日当がどこにあるのか。今も通帳に貯めてあるのか? それを調べて明らかにすることが行政の責任ではないでしょうか。
偽領収書~90代の高齢者が泥上げ・草刈
県への情報公開でわかったこと
〇母は96歳なのに「水路の泥上げ・草刈をした」というウソの受領書が複数あった。人の名前を勝手に使わないでほしい。議会で「おかしい。調査して是正せよ」と言うのは伊藤議員だけ。ひどすぎる。
〇複数の筆跡で私の領収書が作ってあった。おまけに名前の漢字が間違っている。毎年出方に参加しているが、2019年度までは1円も日当をもらったことはない。
〇転居し、泊一に住んでいない私の名前が自治会名簿に載せられ、架空の日当受領書が作成されていた。デタラメだ。
伊藤千代子~小学生の子どもが「ため池の草刈・泥上げ」をした日当領収書や、シニア会が水路の泥上げした領収書など、事実ではない領収書が何百人分も作られています。組合は自治会や農区の名簿を使って、偽領収書を作成していた疑いがあります。
泊一環境保全組合をめぐる経過
2007年 泊一行政区長が交付金を受給するため、「泊一環境保全組合」の設立を市に申請。市が認可。
交付金は年に約250万円。組合は総会を開かず組織を運営。出方作業に参加した農業者に日当を支払わず、環境美化活動を多面的機能支払交付金の対象事業と市に報告し、交付金を水増し請求。
2019年12月、国に内部告発。告発者にパワハラ。
2020年2月、国が検査。ズサンな事務が発覚。
国が「環境美化活動は交付金の対象事業ではない」と指摘すると、市が「環境美化は水路の泥上げ、ため池・農道の草刈り」と虚偽説明。
6月、組合が農業者に出方の日当8千円をはじめて配る。
2021年 組合が市に提出した文書から名簿、領収書、決算書、総会議事録に偽造・ねつ造が見つかる。
9月14日、伊藤が議会で質問。市が「問題ない。事務は適切」、「領収書は信用するしかない」と答弁。
9月16日、自治会役員が副市長と市役所で面会。
10月27日、自治会の臨時総会で伊藤千代子非難決議を採択。市議会議員らが来賓として参加。
2022年7月、組合が伊藤を、前区長が告発者を提訴。
2023年3月、県が市に対し「組合の書類を事実確認するよう依頼する文書」を送付。市が「調査しない」と県に回答。6月議会、9月議会で市は「問題ない」と答弁。
住宅地の環境美化で農業の交付金はもらえない
泊一行政区の環境美化活動
住宅地の中で道路、公園、公民館を主に清掃。善意のボランティア活動。写真は今年5月14日
泊一行政区自治会では、毎年2回、春と秋に環境美化活動を取組み、道路や公民館、公園の清掃を住民総出でおこなっています。
泊一環境保全組合は、この環境美化を「農地維持のための共同活動」と市に虚偽報告し、多面的機能支払交付金を不正受給していました。
しかし、善意のボランティア活動である環境美化は、農業の交付金とは関係ありません。
国の検査で市が虚偽説明
2020年2月、国が組合を検査したとき「「環境美化は本交付金の対象事業ではない」と指摘しました。
すると市が「泊一の環境美化は農用地の泥上げ、農道・ため池の草刈り。
活動は適切である」と嘘の説明をして不正受給をごまかしました。
そのため組合は、今も交付金の不正受給を続けています。
県の調査依頼を市が拒否
今年の3月、県は私の要望を受け、服部知事の名前で月形市長に文書を送り、組合の書類を事実確認するよう依頼しました。しかし市は「調査しない」と県に回答しました。
国の検査を妨害し、不正の事実を隠蔽(いんぺい)したのが糸島市だからです。
市のホームページで虚偽情報を発信 嘘をつき続ける羽目に…
市は今年3月から、公式ホームページ「市長への手紙」に、泊一の環境美化は「泥さらいから始まる」という「匿名の住民」の声を載せ、私を名指しで誹謗中傷しています。
国の検査官に「泊一の環境美化は、農地の維持活動」とウソをついたため、市はそのウソを永遠につき続ける羽目に陥っているのです。
毎年2回、春と秋、市長の呼びかけにこたえて行う住宅地の環境美化を、農地の活動と偽って交付金をもらい続けることは、補助金適正化法に違反しており、許されません。
組合と自治会が伊藤を裁判に訴える
2022年7月、泊一環境保全組合と泊一行政区自治会及び前区長と前事務長は、私を提訴し、523万円を支払えと請求してきました。
原告が裁判で主張しているのは、
① 泊一行政区で行う環境美化活動は、
多面的機能支払交付金の事業である。
② 領収書の偽造はない。
また原告は「市が不正はないと議会答弁しているのに、伊藤千代子は不正があると質問し迷惑している、質問をやめよ」と言っています。
しかし、泊一の環境美化は住宅地のボランティア活動であり、農地維持活動ではありません。領収書の偽造があるのも事実です。原告は一日も早く不正を認めて訴訟を取り下げ、真実を語るべきです。
私は議員として市の不正の実態を明らかにし、是正するまであきらめません。
ご支援をよろしくお願いいたします。
なぜ市は「問題ない」と組合をかばうのか?
理由①組織の代表が市職員
泊一環境保全組合が国の検査を受けたとき、組合の会長は行政区長、事務長は市の職員でした。公務員の不正は市の責任。社会のきびしい批判を浴びるからです。
理由②議員も不正に関っている
元議員、現議員が利害関係者になっている活動組織のなかには、泊一と同じく総会を開かず、日当を払わず、別通帳に交付金を貯め込んでいるところがあります。
職員、議員が関わった不正まみれの実態を、市は必至で隠しつづけているのです。
理由③不正の原因が市にある
日当未払い、環境美化による不正受給と文書偽造。これらは市が長年、適切な指導を怠ってきたからです。
そのうえ、市は国の検査を虚偽説明で妨害しており、市長以下、法令違反に問われ、罰則や損害賠償責任が発生する可能性もあります。「問題ない」は、市執行部の自己保身にほかなりません。
クリーンな政治が市民を守る
不正がまん延の糸島市
市の公文書には多くの虚偽記載があります。農業の交付金の不正受給問題は、ウソとヤラセがはびこる糸島市政を象徴しています。
民営化を口実に、元前原市長らに4つの保育施設を無償譲渡したときは、当て馬を使ったヤラセを実行しました。
市職員が架空法人の理事長になりすまし、区長や取引業者、元職員らが理事役で法人選定に加わっていました。
市が多くの当て馬を使ってヤラセの事業者選定を行ない、未設立の法人を契約相手方にした無償譲渡の議案を議会に提案。それを議会が議決し、違法に施設を無償譲渡した例もあります。
市と議会、利害関係者が癒着した「不正のトライアングル」は犯罪です。しかし、不正をやり遂げた職員は出世、天下りし、協力者は優遇されます。
市長は、当て馬になった人を政治倫理審査会委員や都市計画審議会委員、人権擁護委員に任命し、重用しています。市の公務員倫理は崩壊しているのです。
不正を正せば財源が豊かになる
市民は物価高騰のなかで一生懸命に生きています。福祉をよくしてほしい。教育費、文化費を増やしてほしい。税金、公共料金をあげないでほしい。バスを増やしてほしい。どれも切実な願いです。
不正を正せば、市民のための財源が豊かになります。「市は法令を順守せよ!不正を隠蔽するな!」の声を広げましょう。
2023年11月1日 伊藤千代子
(※詳しくはブログ「ちよ便り」で)。
一般質問動画⇩
事件番号令和5年(行ウ)第41号
森林公園樋の口ハイランドの管理を怠る事実の違法確認請求
今日、特別送達郵便で福岡地方裁判所から「期日呼出状」がきました。
私が月形市長を提訴した住民訴訟の「森林公園樋の口ハイランドの管理を怠る事実の違法確認請求」事件について、12月6日午後3時30分から福岡地裁902号法廷で第一回口頭弁論が行われます。
不当、違法だと思ったことは、地方自治法に則り住民監査請求や住民訴訟に訴えていかないと、行政による利権絡みの違法行為は際限なく広がり、政治倫理、公務員倫理の崩壊につながります。
地方自治の健全な発展と税金のムダづかいをやめさせ市民の暮らしを守りたいと切に願いつつ、闘い、記録してまいります。市民のみなさんのご理解とご支援をお願いいたします。
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ちよ便り19号2019年10月発行