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心の財産…

28日の晩、11時ごろ、前原駅に夜の見回りに行こうとしたら、ちょうど東京から一晩泊りに来ていた妹が、玄関で見送ってくれた。

「おねえさん、寒いから気をつけてね」と言ってから、こんな話をした。

「うちのMさん(彼女の夫)、この前、一人暮らしの高齢の女性の方が入院されたので、入院の手続きやら何やら、まるで本当の息子のようにお世話したのよ。

それに夜がどんなに遅くなっても、朝早く明け方には起きて、寒い中、赤旗しんぶん配りにいくのよ。

だからね、あなたのお母さんは、すごく立派な子育てをしたのねって言ったの」

「そしたら、彼はなんて言った?」

「母さんに会ったら、そう言っておくよって。うふふ…」

化粧っけのない、質素だが笑顔のきれいな妹が、白い歯を見せて笑った。

東京のど真ん中で、わずか2Kの狭い狭いマンションで、日本共産党の区議会議員をしている夫と、中学生の息子と三人で暮らしている。

田舎の緑あふれる山の中の広い家で育った私たち姉妹には、がまんできないような環境で、不平ひとつ言わず、楽しそうにしている。

喘息もわずらいながら。そのときは、ふーんと聞き流して忘れてしまったのに、夕方、ひとりで日暮れた街の歩道をもくもくと歩いていたら、妹の笑顔とそれらの言葉がふいによみがえってきた。

40代とは思えないあどけない笑顔の妹。

どうやら、心に財産をもっているんだ。あの子は。


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