保育所の移管先法人選定で自作自演
2017年6月議会。「違法性はない」と答弁する月形市長だが…。
官製談合をやりすぎて、歯止めがきかなくなったのが糸島市だろう。
2009年から2017年にかけて、市は5つの市立保育所を民営化し、移管先の法人には保育所財産(建物・設備・備品)を無償譲渡した。しかし、これらの法人選定は、すべて架空法人や個人を当て馬に使った市役所ぐるみのヤラセだった。
市長が選定委員を任命するプロポーザル方式の事業者選定で、「キミが当て馬」「ボク審査員」のようなヤラセを仕切れるのは、市の最高幹部くらいである。
そして議会は「審査したフリ」をして不正な議案をつぎつぎ議決し、市長は財産処分の契約を締結していった。
松本嶺男前市長は、井原保育所と雷山保育所の無償譲渡を指揮し、月形祐二市長は、一貴山保育所、深江保育所、神在保育所の無償譲渡を実行し、春田整秀元市長は深江保育所を無償譲渡された利害関係者だった。
3人の市長(現・前・元)が関与するヤラセの事業者選定で、市はぼう大な虚偽の行政文書を作成したが、だれひとり責任を取らず出世、天下りし、そのうえ反省せず、同じようなメンバーで同じような不正を今も平気で続けている。
①履歴書偽造でなりすまし
法人の理事長ではないのに履歴書に「理事長」と書き、施設長ではないのに履歴書に「施設長」と書き、市の社会福祉法人の選定で大掛かりな「なりすまし」によるヤラセを仕組んだ松本前市長と月形市長。市の大切な保育所財産(総額5億円?)の不正な無償譲渡は、履歴書と申請書の偽造から始まった。
これは、2016年神在保育所の「移管先法人募集」に応募してきた若尾勉氏の履歴書である。
審査する議会の議員に、名前以外住所も学歴も職歴もすべて非公開だったが、これは偽造された書類である。なぜなら、履歴書に「理事長」とあるが、若尾氏は法人の理事長などではなかったからだ。
正確に言えば、「市の保育所を無償譲渡してもらって、法人の理事長になりたい」人の履歴書であった。そして、その願い通り、若尾氏は翌年の2017年4月1日、市から神在保育所を無償譲渡され、経営者になった。
2014年2月19日、深江保育所と長糸保育所の「移管先法人募集」に応募した仲西徹登氏の履歴書である。
名前以外非公開だが、虚偽の履歴書である。なぜなら、履歴書に「理事長」とあるが、仲西氏は法人の理事長などではなかったからだ。
このとき同氏は糸島消防の次長=部長職で、浜地広喜消防長の部下だった。消防幹部が架空の「社会福祉法人碧晟会」の理事長になりすまし、事業者選定に応募していたのである。
市長が現職職員の応募書類を受理し、同僚の部課長らに審査委員や事務をやらせた前代未聞のヤラセである。
2006年、井原保育所の移管先法人に応募した本田幸太郎氏の履歴書である。
名前以外非公開だが、虚偽の履歴書である。なぜなら、この人は法人の代表ではないうえ、福岡市の住民だったのに住所は前原になっている。職歴も事実を書いていない。
審査委員は、よくこんな履歴書で最高点をつけたものだと思う。「〇〇元前原町長の親族」だったからか。
2007年4月1日に市から保育所を無償譲渡されたが、このときの財産処分の議案は虚偽だった。契約相手方法人が設立されていなかったからである。
2006年、雷山保育所の移管先法人に応募した吉田桂子氏の履歴書である。名前以外非公開だが、虚偽の履歴書である。
なぜなら、この人は法人の代表ではないうえ、福岡市の住民だったのに住所が前原になっている。
2007年4月1日に市から保育所を無償譲渡されたが、このときの財産処分の議案は虚偽だった。契約相手方法人が設立されていなかったからである。
松本嶺男前市長は、決定書や議案が登記と違っても平気なとんでもないワルだった。
2006年、雷山保育所の移管先法人に応募した人の履歴書である。名前以外、住所も学歴も職歴もすべて非公開だが、虚偽の履歴書である。この人は社会福祉法人の理事長であったが、経歴及び申請理由を偽って申請しており、頼まれた「当て馬」としか考えられない。
2006年、雷山保育所の移管先法人に応募した人の履歴書である。名前以外、住所も学歴も職歴もすべて非公開だが、虚偽の履歴書である。なぜなら、履歴書に「理事長」とあるが、この人は法人の理事長などではなかったからだ。当て馬らしく、落ちる気満々の履歴書である。
2006年、井原保育所の移管先法人に応募した春田整秀元前原市長の履歴書である。市長であったことを隠すために、名前以外黒塗りになっている。
春田元市長は、2003年に落選するまで2期8年間、前原市長をつとめた。松本前市長、月形市長の支援者である。
春田市長は「市の財政は苦しい。お金がない」とよく言っていたが、市長を引退してわずか3年後に、自分の住む地域の公立保育所を無償譲渡する移管先法人に応募していた。
このときは(予定通り?)落選したが、2015年4月1日、合併後に旧二丈町の深江保育所の財産を無償で譲渡された。このときの審査委員や事務方のトップは、春田元市長の友人や元部下たちだった。
ヤラセの手口
総額でおよそ5億円もの保育所財産を有力者とそのお友達で分けあったヤラセの手口は、特殊詐欺とほぼ同じである。架空の法人をでっち上げ、何人もの人が理事長や施設長、理事になりすまし、文書を偽造し、審査したフリをし、議会で議決し、市長が契約を結ぶという流れ。
違うのは、やったのが暴力団のような反社会的組織ではなく、選挙で選ばれた首長らであったこと。経費は税金。人材は職員。行政腐敗の極みである。
架空法人の名簿と審査委員に名を連ねた人達
法令を遵守せず、地方自治を踏みにじり、述べ200人もの人を動員したヤラセ。そのうち何人が違法行為と認識していたかはわからないが、裏で仕切った者たちは入念に準備したことだろう。
どこにだれと誰が集まって、このとんでもない計画を立てたのか?
〈誰を理事役に頼もうか?あれは市から仕事をもろとるぞ〉
〈こっちは補助金をもろとる。審査委員によかバイ〉
〈これは元職員ぞ。名前を貸してくれるやろ〉
〈こん人は教育委員やったな。みんな信用するバイ。行政区長も入れときない〉
〈こん人は福岡で園長しとるげな。応募資格ないやろ。それは履歴書に書きなんなよ〉
〈住所は前原の者の住所を貸しちゃる。職員には登記を調べんでもよかと言うておけや〉
〈法人の納税証明書? 架空やけん出せんめえが。個人の市民税納税証明書を市が出しちゃれ〉
〈絶対に口が固いもんじゃないと万一バレたらまずいぜ〉
〈バレん、バレん。それに市長がついとる。バレてもケーサツは手を出し切らん〉
〈終わってから仕事をやればよかとよ。いくらでもあろうが〉
〈伊藤千代子が「おかしい」言うたっちゃ、誰も信じやせん。心配なか。やかまし言うたらまた議会で懲罰食らわしたれ〉
〈談合は必要悪よ。プロポーザル方式もいっしょたい〉
ゲラゲラ笑いながら、酒を呑みながら、こんな会話があったかどうかは知らないが、そんな声が聞こえてきそうな名簿の顔ぶれである。
詐欺市役所におけるエセ議会の役割
主に4つ。
⑴不正な議案を審査したフリをする。
⑵不正な議案を大勢で議決する(契約相手方法人が設立されていない、契約相手方法人の住所が違う、事業者選定がヤラセ等々)。
⑶不正を追及する議員の質問を妨害する。
⑷不正を隠蔽して市を守る。
議会制民主主義が踏みにじられ、コンプライアンスのカケラもない糸島市では、想像を絶する違法行為がまん延している。
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