消防団員の報酬 今年度から個人振り込みへ
糸島市議会発行の「議会だよりNo.13」
昨年の6月議会で、消防団員の報酬を団への振り込みではなく、個人への振り込みにするよう求めましたが、それが今年度から実施されることになりました。
主な改定内容
消防団員の団員報酬を年額3万5500円から、3万6500円に引き上げる。
災害出動報酬を1日8千円支給する。(半日は4千円)
費用弁償を2100から交通費として1000円支払う。
この条例改正とともに、報酬と費用弁償を個人への支払いにするため、振り込みで個人支払にする。
個人への振り込みを議会で取り上げた理由
議会ニュースちよ便りで、「多面的機能支払交付金の事業で、作業日当が参加者に支払われていない」と書きました。
すると、ビラを見た元消防団員の方から、「自分たちも報酬をもらったことがなかった」という電話をいただきました。「火事で出動したときの費用弁償をもらったこともない」と。
そこであちこちで聞いて見ると、
「本当です。ガソリン代も手出しでした。いま物価が高騰してガソリン代も高いし、後輩の消防団員のために、個人にちゃんとお金が支払われるようにしてください」とも言われました。
災害の時、駆け付けてくれる消防団員に、活動に見合った報酬をきちんと支払うことは、絶対に必要です。
しかし、この数年、全国では消防団員報酬が実際に活動した消防団員に支払われず、一部の人の飲食費やタクシー代、コンパニオン代、旅行代などに消えていたことが新聞等で報じられました。東京では、振込通帳を預かって、他人が引き出すという悪質なところもあったようです。
糸島消防の答弁では、「団員からの委任に基づき、分団長口座に振り込みをさせていただいている。その後については確認していない」ということでした。
ただ、消防団員の中には市の職員が大勢いたわけで、何十年もこういう状況がつづいていたことは衝撃的ですらあります。
そういえば、消防の集まりのたびに酒をあおってべろんべろんに酔っぱらい、だらしない格好でぐだぐだ言う威張った議員がいました。議長にもなった人ですが、もうこういう節操のない時代は終わりにしたほうがいいと思います。
先日、志摩の元消防団員の方が、「伊藤議員の質問は、こっちでも話題になりました。その通りですよ」と言ってくれました。
令和4年4月1日現在の消防団員数は985人。
報酬及び費用弁償の額については、令和3年度の支出額で報酬が5,574万5,250円、費用弁償が1,877万1,900円。合計で7451万7150円。
令和5年度は、予算が一億円を超えていましたが、団員にきちんと支払うことで、このお金がさまざまに消費され、団員の家庭を温かにし、地域活性化につながることを願います。
いとう~通信指令室が1人勤務で市民の命が守れるか?
馬場副市長~問題はないと認識
「火事です!」「早く救急車を!…」24時間休みなく10万市民からの助けを求める119番通報を受信し、的確な指令を発信するのが消防本部の通信指令室です。
糸島消防本部では何十年もの間、通信員は3名体制で、たとえ1人が休憩や仮眠をしても、常時指令台につく通信員は必ず2名以上でした(上の写真のように)。
ところが市は、平成31年度(令和元年度)に通信員を削減し、3名から2名体制に減らし、常時指令台につく通信員を基本1名以上としました。
そのため、2人のうち1人が休憩する時間や仮眠する夜間はたった一人での勤務になっています。
※昨年6月議会で取り上げましたが、今年度も改善されていないので、当時のブログを再掲載します。
ひとり勤務は「消防力の整備指針」に反する
いとう~119番通報の聴取を行って、いつ起きるかわからない災害から住民を守っているのが、通信指令業務です。ところが職員機構図を調べると、平成31年度に現場の職員を減らしました。その理由をうかがいます。
井手消防長~通信指令の体制につきましては、無線のデジタル化に伴うデータ送信の効率化及び業務の見直し等により減員が可能と判断したものでございます。
いとう~通信員の日誌を情報公開で取り寄せました。夜間の午前1時から午前5時まで、2人のうち1人が仮眠するため、たった一人で119番通報を受けています。
消防力の整備指針第31条には、「通信指令管制業務に従事する職員の数は2人以上」となっていますが、この状態は国の指針に反するのではないでしょうか。
消防本部~消防力の整備指針は、あくまでも人員等の整備目標を定めたもので、本市の実情に即しました。適切な対応をとっております。
いとう~国の統計では、10万人以上の市町村で1人勤務をさせているという自治体はないと思います。デジタル化をしてシステムがよくなっても、対応するのは人間です。
119番通報が2本同時にかかってきたらどうするのか?
いとう~1人勤務をしているとき、2本同時に(助けを求める119番の)電話が鳴ったらどのように対応しているんですか。
消防本部~もう1名の通信員を指令内からの信号によって解放させまして、対応しております。
いとう~隣の部屋で仮眠している人に、ほら電話がもう1本鳴ってるよと起こして、電話に出させるのが、2本同時に電話があったときの対応ということです。1分1秒を争うのに。
通信員が、急な腹痛でトイレに行きたくなるとか、そういうこともあり得ます。そんな時には仮眠室で寝ている人を起こしてトイレに行くのですか。
消防本部~その通りでございます。
万一通信員が倒れたら119番通報がストップする
いとう~10万市民の夜の命の安全をたった1人に任せている状態は、信じられません。
子どもは病院とかが休みの時に限って具合が悪くなったり、熱を出したりします。
119番通報がすぐ繋がって、対応してくれるのは本当にありがたい。もしそれが繋がらなかったら恐怖です。
1人勤務の通信員が突然心筋梗塞等で倒れてしまったら、隣の仮眠室の人を呼ぶことはできません。119番通報がその間、ストップしてしまう。そういう想定をしたことはないのですか。
井手消防長~隔日勤務者の消防隊等も複数名おりますので、臨機応変に対応をしております。
いとう~でも、部屋の中には1人しかいないのですよ。
人員削減を決定したのは?
いとう~通信員を削減した決定書は、平成31年3月6日できており、市長決裁です。つまり月形市長が、印鑑を押しています。
市長は、夜中1人で通信員が勤務をしている実態をご存知でしたか。
月形市長~先程消防長も答弁したとおり、デジタル化等も含めて消防の方で判断をされてこういったシフトになるということで、存じております。
いとう~通信記録を見ると、土曜日とか日曜日、二人で勤務となっていますが、朝の8時半から夜の10時まで13時間半ぶっ続けの勤務になっています。
職員が昼休みをとった記録がないんです。お昼ご飯のときも(別の119番)電話がかかってきたときのために、通信指令室の中で待機させているのですか。
消防本部~基本的に指令台に常時ついている人間は1名で、もう1名は交代で休みをとっております。
いとう~全国の消防本部は、常時指令台につく通信員は2名以上です。10万人以上の人口だったら。どうしてそんなに人件費をケチるのかと思います。
全国で通信指令室におけるさまざまな事故の事例があります。聴覚障害者からのFAXの受信を見損なったとか、仮眠をしていた職員が2度寝をした(その間、だれも電話に出れなかった)とか、システムが良くなっても、ヒューマンエラーを回避することはできません。
いとう~2名以上が指令台につく体制に戻すべきだ
副市長~現在の通信体制については問題はない
いとう~OBの人たちも、無理だと言っています。(常時2名以上が通信指令台につく)元の体制に戻すべきだと、市長は考えませんか。
井手消防長~先ほど答弁させていただきましたとおり、通信の体制につきましては万全を期していると考えております。
馬場副市長~私が市長より指示を受け、消防本部と協議させていただいてきました。通信の現体制については問題はないという認識を持っております。
防災力の向上につきましては、10名増員をし、特別救助隊の設置、5台目の救急車の導入に充てるという形で、消防力防災力を強化していきたいと考えおるところでございます。
いとう~私が言っているのは、特別救助隊も大事だけれども、その前に消防の要(カナメ)となる通信員を減らしちゃいけないって言ってるんですよ。(つづく)
「2名以上の通信体制にもどせ!」の声を広げよう!
「火事です!早く来て!」
「海水浴場で人がおぼれました!」
「心臓発作で倒れて息をしていません!」
「交通事故でけが人がでています!」
「増水した川に子どもが流されました!」…
救命活動は、1分1秒を争います。119番通報を受ける通信員のひとり勤務は、上記のような問題があり、助かる命も助からない危険があります。
市民のみなさん。不要不急の大型公共事業、有力者への財産の無償譲渡による財政難のツケが、必要な職員削減や市民の命軽視につながっています。
「通信員を減らすな。もとの2名体制にもどせ」の声を広げてください。あなたとあなたの愛する人を守るために。
消防関連ブログ
ちよ便り29号〜消防庁舎が建築基準法違反
6月議会のニュースができました。クリックすれば、写真を拡大できます。
1,今回は、消防関係の質問を中心にまとめました。
地球規模で自然災害が多発し、市民の命と財産を守る消防の果たす役割は増大しています。
しかし、排煙設備になっている窓を修理せずふさいで壁にしたり、通信員をひとり勤務にさせたりと、市の執行部の危機管理意識の低さとコンプライアンスの欠如を痛感しました。
職員が安心して職務に専念できるよう、
①通信指令室のひとり勤務はやめ、2名以上に改める。
②排煙設備の窓をふさいだ原因を明らかにし、建築基準法違反の状態を解消する。
上の二つは、職員と市民の命にもかかわるため、一刻も早い対応が必要です。
2,二見が浦の駐車場の有料化問題では、指定管理者のカネ儲けにつながるとして反対しました。
糸島市は、一部の有力者のために、事業者選定で数々の不正を行い、多くの虚偽公文書をつくってきた歴史があります。
それらを具体的に明らかにし、市民のためのクリーンな市政を実現すること、それが私の長年の願いです。
ご支援をよろしくお願いいたします。(伊藤千代子)
※昨日7月29日、福岡地裁で糸島消防パワハラ免職取消しの判決があり、小野寺優子裁判長は、パワハラを認定したうえで「処分は重すぎ、妥当性を欠く」と指摘したそうです。
そもそも糸島市では、市長以下歴代市の執行部に法令順守が欠けているのです。
詳しくは後日。
※文字が見えにくいとのご連絡があったので、下に大きく掲載します。
それぞれクリックすると拡大できます。
⑤志摩出張所の消防士も削減 昨年4名体制に戻す
糸島市消防署志摩出張所。旧志摩庁舎の隣にある。
(1)「2人での消火活動は不安…」
平成31年度に3名に減らし昨年度4名体制に戻す
市の組織機構図によると、市長は平成31年度に指令台につく通信員を基本2名から1名に削減しただけでなく、志摩出張所の消防士も4名体制から3名体制に減らしていました。
それまで火災が発生し出動命令がくるとただちに4名で出動していたのが、一人減って3名での出動になったわけです。
ひとりは機関員でポンプ車の操作をするため、後の2人が消火活動に当たらなければなりません。3名で消火活動にあたっていたのが2名になったのだから、大変な負担だったでしょう。
職員アンケートには、「2名での消火活動は不安」という切実な声が載っています。元の体制に戻ったのは、昨年度からです。
(2)消防職員を減らすな!
「防災力の強化」と言いながら、命がけの消火活動に携わる人員を減らし、現場から苦情がでてはじめて元に戻す。これでは行き当たりばったりの危機管理と非難されても仕方がありません。
市が不要不急の大型公共事業を推進しているため、きびしい財政難にあります。特に総合運動公園は利用者を2倍に見積もった過大事業であり、完成後は施設維持費が市の財政をいっそう苦しめるでしょう。
馬場貢副市長は、「市長から指示をうけ、消防本部と協議した」「通信体制については問題ない」と答弁しました。しかし、通信員1人勤務は10万市民の命を守れません。
消防における人員削減は、市民生活にただちに悪影響を与えます。消防職員は絶対に減らすべきではなく、通信員も元の体制に戻すべきです。
出動後、撤収する糸島消防の隊員。人の命を救う消防職員は子どもたちのあこがれの職業の一つです。糸島消防庁舎の階段には、施設見学にきた市内小学校子どもたちからの「お礼の手紙」がたくさん飾られています。(2022年5月撮影)
(3)次々大型公共事業 財政難のしわ寄せは福祉・防災にも
馬場副市長は、松本嶺男前市長のときから長く市の政策決定に関わってきました。浦志の踏切廃止、アンダーパス事業、きららの湯の無償譲渡、雷山総合運動公園整備事業の1者入札などなどです。
いま自分の出身地である馬場地区の開発を市長に任され、その先頭に立っています。
市長は、波多江駅から九大へ鉄道を延ばし、泊と九大に新駅を建設する構想をもっており、泊と馬場の大開発とそのための財源づくりが市の重要課題になっています。そのため、財政難のしわ寄せが福祉・防災にも及んでいます。
九大へ波多江駅から鉄道を延ばす市長の構想(約3百億円?)
西日本新聞2018年6月9日付
消防関連ブログ~今回の質問から
6月13日一般質問④ 窓がふさがれ排煙設備が不足
いとう~消防本部が建築基準法違反でいいのか?
消防長~再度確認し適切に対応する
赤丸の中。完全にふさがれ機能していない排煙設備
消防本部庁舎北側の壁。火災のとき煙を排出する排煙設備の窓がふさがれている。5月6日撮影。
ふさがれた窓の内側は通信指令室
いとう~消防の庁舎は築22年になりますが、大規模改修工事を行ったことがありますか。
井手消防長~屋根の防水工事や自家発電設備等の改修工事は実施しておりますが、大規模な改修工事は実施しておりません。
いとう~大規模改造について具体的な計画がありますか。
井手消防長~防災拠点としての機能を維持確保するため、令和11年度に大規模改修を実施する予定としております。
いとう~消防は、24時間休みなく闘う施設です。職員は職場で朝夕の食事をし、夜は仮眠もします。緊急事態に備え、職員が安全に勤務できる職場環境が必要です。
令和3年10月に実施された職場改善アンケートを見ると、雨漏りとかサビで庁舎の劣化がひどいという声があります。老朽化の実情を把握していますか。
井手消防長~エレベーター等の設備につきましては、定期点検を業務委託しております。そのほか、公共施設点検マニュアルに基づき、消防職員による定期的な点検を実施し、適正に管理していると認識しております。
いとう~アンケートには、例えばエアコンが直らんとか、トイレ、洗面所、仮眠室の雨漏りとか。これらは大規模改修を待つまでもなく、予算をつけて早く修理した方がいいと考えますが、いかがですか。
井出消防長~大きな額を伴う修繕につきましては、計画的に予算計上して対応しております。突発的な修繕に対しても対応できるよう、経常的に修繕費予算を確保しております。
いとう~今回、消防本部に行って、通信指令室の北側の窓がパネルでふさがれているのを見つけました。OBに聞くと、ずっと前から雨漏りがするから窓をふさいでいると聞きました。消防長、事実ですか。
消防本部~窓は雨漏りがありましたので、防水加工を施して実施しておるところでございます。
いとう~いくら市の財政が苦しいからといって、窓を壁にするのは、施設管理者として不適切です。OBによると6、7年前からあの状態と聞きました。きちんと予算を計上して修理すべきじゃないですか。
消防本部~通信指令システムはすべて電子機器で、水に漏れると大変な故障につながりますので、外から板が張っているかもしれませんが、防水対策については万全を期しております。
いとう~しかし、みなさん消防のプロでしょう? あの窓は煙を排出し、職員の避難に必要な排煙の機能を持っている排煙窓です。消防庁舎が火事になった時、建物に煙が充満して職員が逃げ遅れないために必要な「排煙設備」なのですよ。
それをふさぐのは、施設管理者としてあまりに不適切。だからこの場で言っているのです。雨漏りするとかしないとかという以上の問題だと思いませんか。
井手消防長~はい、先程申しましたように、雨漏り等については万全を期しておりますが、再度確認をして適切に処理をしていきたいと思います。
必要な排煙設備は2.06㎡以上だが1.75㎡しかない
いとう~庁舎の見取り図を見ると、通信指令室の面積は102.78㎡です。建築基準法126条で定められた排煙設備は、その50分の1。2.06㎡以上必要です。
しかし、消防庁舎の設計図を見て確認すると、実際の排煙設備は、1.75㎡しかない。ベランダの上の三連窓しか機能していないからです。
赤枠の中。機能しているのはベランダの上の三連窓だけ
①両脇の小さな窓がふたつ
横0.85m×縦0.56m×2=0.952
②真ん中の大きな窓がひとつ
横1.43m×縦0.56=0.8008
① +②=1.7528㎡
いとう~つまり、建築基準法が必要としている排煙設備2.06㎡を満たしていません。もし消防本部が火事になったら、職員の命が守れない状態にあるんです。財政難だからと大規模改修まであのままにしておいちゃいけません。直ちに改修すべきです。
井手消防長~適切に対応してまいります。
いとう~建築基準法違反は、国土交通省の事務です。市長の責任できちんとやってください。
法令担当者の責任は重大(6月21日議会後の議員全員協議会)
いとう~藤田総務部長がおいでなので、申し上げます。
先日の一般質問で、私は消防本部の庁舎が建築基準法違反だと言いました。排煙設備の窓をふさいでいるからです。法令担当の総務部長の責任は重いですよ。どうするのですか?
堀田議長~それはこの案件に関係ないと思いますが。
いとう~消防本部が建築基準法違反とは大変なことでしょう。スルーできませんよ。
総務部長~消防本部の管理につきましては、消防長の責任です。その件は、至急、解決をはかるよう、市長から指示されています。
堀田議長~いいですか?伊藤議員。
いとう~きちんと対応してください。(隠ぺいはダメ)
違法行為がまん延の市と議会
糸島市では、契約相手方法人が設立されていない議案を議決したり、事業者選定ではじめから契約者が決まっており、それが議員や有力者の関係者だったり、法令順守、コンプライアンスはデタラメです。虚偽公文書は、無数に作成されています。
6月21日、昨日は6月議会最終日でした。夕方から部長職と議員との意見交換会(飲み会)が、飲食店で開かれましたが、私は出席しませんでした。
違法行為がまん延しているのに、それを黙認して執行部と酒を飲むなど絶対にできません。
市長は、有力者に市の財産を無償譲渡し、不要不急の大型公共事業をつぎつぎ推進しながら、インフラ整備などの必要な予算を徹底的に削減しています。それが諸悪の根源です。
それにしても、あれほど高いところにある窓をどうやってふさいだのでしょう?
いつ誰の命令で? (つづく)
消防関連ブログ~今回の質問から
6月議会一般質問その3
《119番通報は助けを求める声》
いとう~夜間の1人勤務で10万市民の命は守れない
副市長~問題はないと認識
「火事です!」「早く救急車を!…」24時間休みなく10万市民からの助けを求める119番通報を受信し、的確な指令を発信するのが消防本部の通信指令室です。
糸島消防本部では何十年もの間、通信員は3名体制で、たとえ1人が休憩や仮眠をしても、常時指令台につく通信員は必ず2名以上でした(上の写真のように)。
ところが市は、平成31年度(令和元年度)に通信員を削減し、3名から2名体制に減らし、常時指令台につく通信員を基本1名以上としました。そのため、2人のうち1人が休憩する時間や仮眠する夜間は、たった一人での勤務になっています。
ひとり勤務は「消防力の整備指針」に反するのではないか?
いとう~119番通報の聴取を行って、いつ起きるかわからない災害から住民を守っているのが、通信指令業務です。ところが職員機構図を調べると、平成31年度に現場の職員を減らしました。その理由をうかがいます。
井手消防長~通信指令の体制につきましては、無線のデジタル化に伴うデータ送信の効率化及び業務の見直し等により減員が可能と判断したものでございます。
いとう~通信員の日誌を情報公開で取り寄せました。夜間の午前1時から午前5時まで、2人のうち1人が仮眠するため、たった一人で119番通報を受けています。
消防力の整備指針第31条には、「通信指令管制業務に従事する職員の数は2人以上」となっていますが、この状態は国の指針に反するのではないでしょうか。
消防本部~消防力の整備指針は、あくまでも人員等の整備目標を定めたもので、本市の実情に即しました。適切な対応をとっております。
いとう~国の統計では、10万人以上の市町村で1人勤務をさせているという自治体はないと思います。デジタル化をしてシステムがよくなっても、対応するのは人間です。
119番通報が2本同時にかかってきたらどうするのか?
いとう~1人勤務をしているとき、2本同時に(助けを求める119番の)電話が鳴ったらどのように対応しているんですか。
消防本部~もう1名の通信員を指令内からの信号によって解放させまして、対応しております。
いとう~隣の部屋で仮眠している人に、ほら電話がもう1本鳴ってるよと起こして、電話に出させるのが、2本同時に電話があったときの対応ということです。1分1秒を争うのに。
通信員が、急な腹痛でトイレに行きたくなるとか、そういうこともあり得ます。そんな時には仮眠室で寝ている人を起こしてトイレに行くのですか。
消防本部~その通りでございます。
万一通信員が倒れたら119番通報がストップする いいのか?
いとう~10万市民の夜の命の安全をたった1人に任せている状態は、信じられません。
子どもは病院とかが休みの時に限って具合が悪くなったり、熱を出したりします。
119番通報がすぐ繋がって、対応してくれるのは本当にありがたい。もしそれが繋がらなかったら恐怖です。
1人勤務の通信員が突然心筋梗塞等で倒れてしまったら、隣の仮眠室の人を呼ぶことはできません。119番通報がその間、ストップしてしまう。そういう想定をしたことはないのですか。
井手消防長~隔日勤務者の消防隊等も複数名おりますので、臨機応変に対応をしております。
いとう~でも、部屋の中には1人しかいないのですよ。
人員削減を決定したのは?
いとう~通信員を削減した決定書は、平成31年3月6日できており、市長決裁です。つまり月形市長が、印鑑を押しています。
市長は、夜中1人で通信員が勤務をしている実態をご存知でしたか。
月形市長~先程消防長も答弁したとおり、デジタル化等も含めて消防の方で判断をされてこういったシフトになるということで、存じております。
通信員は13時間半ぶっ続けの勤務を強いられているのか?
いとう~通信記録を見ると、土曜日とか日曜日、二人で勤務となっていますが、朝の8時半から夜の10時まで13時間半ぶっ続けの勤務になっています。
職員が昼休みをとった記録がないんです。お昼ご飯のときも(別の119番)電話がかかってきたときのために、通信指令室の中で待機させているのですか。
消防本部~基本的に指令台に常時ついている人間は1名で、もう1名は交代で休みをとっております。
いとう~全国の消防本部は、常時指令台につく通信員は2名以上です。10万人以上の人口だったら。どうしてそんなに人件費をケチるのかと思います。
全国で通信指令室におけるさまざまな事故の事例があります。聴覚障害者からのFAXの受信を見損なったとか、仮眠をしていた職員が2度寝をした(その間、だれも電話に出れなかった)とか、システムが良くなっても、ヒューマンエラーを回避することはできません。
いとう~2名以上が指令台につく体制に戻すべきだ
副市長~現在の通信体制については問題はない
いとう~OBの人たちも、無理だと言っています。(常時2名以上が通信指令台につく)元の体制に戻すべきだと、市長は考えませんか。
井手消防長~先ほど答弁させていただきましたとおり、通信の体制につきましては万全を期していると考えております。
馬場副市長~私が市長より指示を受け、消防本部と協議させていただいてきました。通信の現体制については問題はないという認識を持っております。
防災力の向上につきましては、10名増員をし、特別救助隊の設置、5台目の救急車の導入に充てるという形で、消防力防災力を強化していきたいと考えおるところでございます。
いとう~私が言っているのは、特別救助隊も大事だけれども、その前に消防の要(カナメ)となる通信員を減らしちゃいけないって言ってるんですよ。(つづく)
「2名以上の通信体制にもどせ!」の声を広げよう!
「火事です!早く来て!」
「海水浴場で人がおぼれました!」
「心臓発作で倒れて息をしていません!」
「交通事故でけが人がでています!」
「増水した川に子どもが流されました!」…
救命活動は、1分1秒を争います。119番通報を受ける通信員のひとり勤務は、上記のような問題があり、助かる命も助からない危険があります。
市民のみなさん。不要不急の大型公共事業、有力者への財産の無償譲渡による財政難のツケが、必要な職員削減や市民の命軽視につながっています。
「通信員を減らすな。もとの2名体制にもどせ」の声を広げてください。あなたとあなたの愛する人を守るために。
消防関連ブログ
6月議会一般質問その2
多発する災害 消防の役割が増す社会
梅雨どきの雷山川。こずは橋から。潤南のアンダーパス予定地の近く。
5年連続で大雨特別警報が発表された福岡県
いとう~昨今の洪水被害の特徴をうかがいます。
危機管理課長~線状降水帯による短時間に狭い範囲で非常に激しく降る雨が頻発する傾向にあります。
福岡県では、平成29年以降、5年連続で大雨特別警報が気象庁から発表されておりまして、県南部を中心に土砂災害や洪水被害が発生しております。
いとう~このような状況下で地下8メートルのアンダーパスは危険だというふうに考えます。土砂災害については、危険箇所の家屋はどれぐらいありますか。
危機管理課長~糸島市内の土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域内の人口世帯数につきまして、令は4年3月末、現在で3305世帯7875人がいらっしゃいます。
馬場副市長~先程、伊藤議員の発言において、中央ルートのアンダーパスの危険性の発言がございましたが、雨時の安全対策につきましては、設計段階から県と十分な協議を行い、排水対策及び通行制限等万全の方策を講ずる計画で進めておるところでございます。
万が一冠水するおそれがある場合でも、近隣住民の方や利用者の安全性を第1に侵入防止ゲートや冠水情報板などにより通行を遮断するようにいたしております。
いとう~想定外の雨が降るのが今の状況じゃないかと私は言ってるんですよ。世界的な異常気象と災害の増加。このことが一番大事じゃないでしょうか。
出動は年間約5千件にも~救急車の到着タイムは8.4分
いとう~世界的な異常気象と災害の増加で、消防の業務量が非常に増え、仕事は多岐にわたっています。昨年度、消防が出動した原因と件数はどうなっていますか。
消防本部~令和3年中の統計件数で、火災件数火災出動件数は35件、救急出動は4202件。救助出動は46件。警戒出動は108件となっております。
いとう~119番で救急要請を受けてから現場に到着するまでの所要時間は、令和2年の全国平均では、8.9分ですが、糸島消防本部ではどうなっていますか。
消防本部~令和3年中では約8.4分でございます。
いとう~全国で一番早い京都は、6分台です。脳梗塞などは、6分が命の分かれめと言われているようです。何人に一人が救急車で搬送された計算になりますか。
消防本部~令和3年中の統計では、住民の約26人に1人が搬送されたこととなります。
いとう~脳梗塞などは、1分1秒を争います。市民の方が救急車のおかげで命を取り留めて退院できたと非常に喜んでおられました。市民の喜ぶ声が消防の皆さんの日々の活動のエネルギー、力になると考えます。
火災予防の指導について~291件の消防法令違反を指導
いとう~火災から市民の生命と財産を守ることは消防の重要な使命です。昨年度の火災の件数と被害額を伺います。
消防本部~令和3年中の火災件数は35件。被害額は8,849万9000円でございます。
いとう~市の防火対象物の総数は幾つですか。また、昨年度の査察の実績を伺います。
消防本部~消防用設備を設置された防火対象物数は1945棟ございます。また、令和3年度の査察件数は422件で、このうち291件の対象物において消防法令違反が確認されております。
対象物の関係者に対しまして査察結果、通知書を交付し送付し、改善指導を行っております。
いとう~どのような法令違反があったかをお尋ねします。
消防本部~防火管理者の未選任、避難訓練の未実施。商用消防用設備等の点検未実施及び消防用設備等の設置維持管理の不適がございます。
いとう~それに従わなかった場合はどうなるんですか。
消防本部~消防用設備の中で、スプリンクラー設備自動火災、報知設備、屋内消火栓、設備について設置しない場合については公表の対象となります。
いとう~集合住宅とか、あるいは例えばいろんな飲食店、たくさんの人が集まるようなところは、指導を的確にやっていただきたいと思います。(つづく)
問題はここからです
糸島市が、不要不急の大型公共事業を推進するなかで、市の財政はきわめてきびしい状況にあります。そのため消防においても、必要な人員の削減、施設のメンテナンス費用不足で、市民と消防職員の命が守れない状況になっています。
6月議会一般質問その1
消防団員の報酬、令和5年度から個人へ振り込み
西日本新聞4月29日付朝刊
1,消防団員の処遇改善について
いとう~まず、消防団の処遇の改善について伺います。
月形市長は、施政方針演説で、ワンランク上の安心づくりということで、防災力の強化を第1に挙げられました。本心からおっしゃっているのか、確認させてください。
月形市長~方針演説でございます。
いとう~今年の1月、私は「議会ニュースちよ便り」の中で「多面的機能支払交付金の事業で、その日当が参加者に支払われていない」ということを書きました。
すると、ビラを見た消防団員の方々から、自分たちも報酬をもらったことがないというお電話とかメールをいただきました。
火事で出動したときの費用弁償をもらったこともない。ガソリン代も手出しですというような声も聞きました。
これは事実かどうかを伺います。
消防本部~御指摘の事案につきましては承知いたしておりません。
なお、団員の報酬等につきましては、団員からの委任に基づき、分団長口座に振り込みをさせていただいております。
その後については確認いたしておりません。
いとう~分団にお金を振り込んだけれども、そこからここの団員にお金が入っていないという実情は知らないということですか。
消防本部~先ほど答弁いたしましたとおり、承知いたしておりません。
いとう~現在、消防団員の総数及び報酬額、また費用弁償はいくらですか。
消防本部~令和4年4月1日現在の消防団員数は985人でございます。
報酬及び費用弁償の額につきましては、令和3年度の支出額は報酬が5,574万5250円、費用弁償が1,877万1900円でございます。
いとう~この振り込んだお金が実際は分団止まりで、そこから各消防団員に入っていないと。それについては分団の方にあずけます、任せますというような委任状を書いているから、個々の団員にはお金が行かないようになっているということじゃないんですか。
消防長~その通りでございます。
いとう~それについて、昨年4月、国からの通知が全国の消防本部に送られました。改善をしなさいと。
ことしの4月29日の西日本新聞によると、「消防団の処遇の改善は道半ば」であるということがここに書かれています。
やはりこれじゃいけないんだと、ことしの4月からたくさんの自治体が、個々の消防団員に振り込みでお金を支払うようになっています。糸島市はまだですが、どうなさいますか。
消防長~現在国の通知に基づいて、令和5年度からの個人支払いに向けて消防団と協議を行っているところでございます。
いとう~つぎに、一回の出動で団員に支払われる費用弁償は2,100円です。
私たちからすれば、非常に低額だというふうに考えるんですけれども、昨年国が消防団員の出動報酬の基準として示した金額は8,000円です。
例えばこの前、私火事に遭った方に聞いたんですけれど、夜中もずっとまだ火事が発生しないか、何時間も夜中の2時3時までそこに立って見ていてくれたという話をしてありました。
国の基準に合わせて、振り込みと同時に改正をする方針があるかどうか伺います。
消防長~費用弁償とは別に出動報酬につきましても、令和5年度からの実施に向けて消防団等と協議を行っております。
これについては、現役の消防団員やOBの方々から、メールや電話で「ぜひ取り上げてほしい」との声がありました。
一般質問は年4回しかないのに、いろいろ準備が大変なので、少々疲れました。残りは次回。
ただ、今期は他の議員からのヤジ・暴言がまったくないので、とてもやりやすくなりました。
傍聴に来てくださったみなさん。拍手で激励していただいたみなさん。ありがとうございました。
より良いまちづくりへ、ごいっしょに力をあわせましょう。
(6月17日、ビデオに基づき作成)
2020年3月議会
一般質問に出席したのは月形祐二市長 甘利昌也副市長 岸原昌広消防長ほか部課長。
○伊藤千代子~1995年、阪神・淡路大震災で火災により消失した戸数と犠牲者数は?
○消防本部~焼損棟数は7574棟、死傷者数は5万226人と把握している。
○伊藤千代子~…警固断層南東部の地震が発生したら、福岡市に次いで糸島市が地震火災の被害が大きいというデータがあるがご存じか。
○消防本部~データは存じている。
○伊藤千代子~阪神・淡路大震災で出動した消防隊員が「地震で建物の下敷きになった人が大勢いた。火の手が上がっているのに水道管が壊れ、断水して水が確保できず消火活動ができなかった」と無念さをつづっている。配水管、防火水槽の耐震化の進捗状況は?
○消防本部~既存の防火水槽の耐震化状況は把握していない。現在、工事を行っているものは耐震性を有している。
○上下水道部~東日本大震災を受けて、平成24年度から基幹管路は、段階的に耐震管を導入し、平成30年度末時点で管路総延長635.3キロ中、19.9キロの水道管を耐震化した。
○伊藤千代子~伊都の杜の現在の状況はどうなっているか。
○建設都市部~令和2年2月末の行政区の数値によると、世帯数は438世帯、人口は1,426人。マンション、商業施設の状況は、令和2年2月末では、戸数349戸、マンション等集合住宅15棟、店舗・事務所等が6棟である。
○伊藤千代子~(開発予定戸数1000戸の)伊都の杜に防火水槽が1つもない。消防水利の基準第4条第3項に、「消防水利は消火栓のみに偏することのないように考慮しなければならない」とある。伊都の杜に防火水槽は絶対に必要ではないか。
○消防本部~現在、消火栓が9基設置されているが、高層マンション等の建築状況を鑑み、防火水槽の設置が必要であると考え、令和2年度に整備計画をしている。
○伊藤千代子~防火水槽を何基、幾らで整備するのか。
○消防本部~令和2年度2基、総事業費は1,483万円を考えている。
○伊藤千代子~20ヘクタールにマンションが4棟、スーパーもある。伊都の杜は防火水槽が最低10基程度必要ではないか。
○消防本部~国の消防水利の基準はあくまでも指針。2基で十分と判断している。
○伊藤千代子~今火事が起きて、運悪く断水をしていたら、十分な消化活動ができない。伊都の杜に住宅が建ち始めた平成26年から今まで防火水槽が1つもない状態だった。消防本部は事業者に防火水槽を造るよう警告をしたのか。
○消防本部~平成24年に土地区画整理組合と消防水利について協議した。消防本部としては、開発面積も広く、地震等により消火栓が使用できない可能性もあることから、消火栓及び防火水槽両方の設置を指導していたが、結果的に消火栓のみの設置となっている。
○伊藤千代子~市は平成24年から伊都の杜の宅地開発に16億円の補助金を交付した。都市計画課は、組合に補助金で防火水槽をきちっとつくれと指導しなかったのか。
○建設都市部~適切に管理者と協議を行うよう指導をした。
○伊藤千代子~しかし防火水槽ができていない。
○伊藤千代子~結果的にだれが得をしたか? 社協への補助金が減るなど、どんなに糸島市は財政に苦しんでいることか。月形市長はこのことを御存じだったか。(市長~答弁なし)
○副市長(甘利昌也)当時の基準で消火栓という選択肢がその区域内の面積を十分にカバーする状況で,何ら問題はない。
○消防本部~開発指導は行政手続法に基づいた行政指導であり、任意の協力を求めるもの。従わなかったからといって不利益処分をすることはできない。
左)補助金の流れ。右)消防法に基づく糸島消防署の開発指導要綱。3000㎡以上の住宅開発は原則防火水槽。伊都の杜は計画戸数1000戸、開発面積20万㎡(20ヘクタール)だった。
~なぜ事業者は防火水槽のないまちをつくったのか?
糸島市の消火栓。道路下の配水管に取り付けてある。火災のときここから水を取って消火活動をするが、地震等で配水管が壊れ断水すると使えず、消火活動ができなくなる。設置費用50万円。伊都の杜に9個ある。防火水槽は高価で1基700万円。
防火水槽の設置費用はすでに補助金で出した
ちよ便り21号より
市が事業者である前原東土地区画整理組合に出した16億円は、伊都の杜に必要な公共施設、たとえば道路や上下水道、公園、防火水槽、ごみ収集所などを整備するために補助したものです。
伊都の杜の宅地開発が終わってしまってから、「防火水槽を設置せんかったけど、やっぱり危ないなあ。危険だからまたお金を出しておくれ!」とは言えないのです。
同じ土地に税金で二重投資することになってしまいます。
地方自治法第2条15=地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を図らなければならい。
地方自治法第2条16=地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。市町村は都道府県の条例に違反してはならない。
同条17=前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
ではどうすればいいのか?
とにかく、今危険な状態にある伊都の杜に早急に2基の防火水槽を設置する。それには上記の理由から国のお金を使えないので、防火水槽2基分の1500万円は市が負担し、後で前原東土地区画整理組合と清水建設に請求すべきでしょう。
糸島市消防本部の開発指導要綱をごらんください
火災は住民の命と財産にじん大な被害を与えるので、1500㎡以上の開発面積があるとき、消防本部警防課が事業者に消防水利を指導します。
3000㎡で防火水槽が必要と書いてあります。いくら耐震化された水道管の消火栓であっても、20万㎡=20ヘクタールの伊都の杜に防火水槽がゼロでは「消防水利の基準」に反します。
さて、市は議会でどのような答弁をしたのでしょうか?
2017年4月、糸島消防本部にて
同年3月、糸島消防署で発覚したパワハラ事件について調査に行ったときの写真。IFR=糸島ファイヤーレスキューを意味する頭文字が鮮やか。隊員は日々市民の安全のためにきびしい訓練に従事している。
いとう~消防水利の基準を守らない宅地開発でよいのか?
伊都の杜に防火水槽が絶対に必要だ。
市~来年度1483万円で2基設置する。
上)伊都の杜の開発計画図。1000戸の宅地開発計画だった。
2012年に事業認可され、18年度に完成。
上)伊都の杜の北側に建設された糸島高校前駅
20万㎡の新しいまち伊都の杜には2014年から住宅が建ち始め、現在約450戸、1500人が暮らし、マンション等集合住宅15棟、店舗・事務所等が6棟もあります。
しかしこの地域には、消防法で定められた消防水利の基準にある防火水槽がありません。市の答弁で、あるのは消火栓が9個だけです。
これが糸島市の消火栓。道路下の配水管に取り付けてあります。火災のとき、ここから水を取って消火活動をします。しかし地震で配水管が壊れ断水すると、消火栓は使えません。
伊都の杜の配水管は耐震化されています。しかし、警固断層もあり、想定外の大地震がいつ来るかわかりません。
国は、消防水利の基準第4条第3項に、
「消防水利は、消火栓のみに偏することのないように考慮しなければならない」と書いています。
防火水槽は絶対に必要なのです。
この6年間、大きな地震がなかったからよかったものの、万一、想定外の地震で伊都の杜の配水管が破壊され、消火栓が使えず消防活動ができなかったら、大変な事態になるところでした。
住民の安全を第一に考え、一刻も早く防火水槽を設置しなければなりません。
しかし20万㎡という大きな住宅地に、防火水槽が2基で足りるのでしょうか?
阪神淡路大震災の教訓 《防火水槽がないとなぜ危険?》
いとう~1995年の阪神淡路大震災での被害は?
消防本部~焼損棟数は7574棟、死傷者は5万226人である。
1995年1月15日に発生した阪神淡路大震災では、水道管が地震で壊れ、防火水槽がないところでは消火活動ができず、多くの人が地震火災で命を失いました。
国はそれを教訓に消防水利を強化し、(1)配水管の耐震化 (2)防火水槽の耐震化を推進しています。
にもかかわらず、開発業者は伊都の杜に防火水槽を一基も設置していませんでした。
その後始末を、市の税金で行うことになったのです。
いったいなぜこんなことになったのでしょうか? つづく
26年度決算について審議する決算特別委員会が9月議会中に開かれ、私は、市政のあらゆる分野について質疑をおこないました。そのなかで、数千万円という多額の費用がかかるはしご車の分解点検(オーバーホール)について、消防署にたずねたところ、「すでに1回は実施し、来年度また実施する予定である」と答弁しました。消防関係の車両は、機能が複雑で、高度な安全性が求められます。とくにはしご車は、地上20メートル、30メートルの高所で人命救助をおこなうため、法律で、購入して7年後のオーバーホールが義務付けられているのです。他市で、3千万円から4千万円かかるといわれるはしご車のオーバーホールを、財政難でできずに、はしご車を使えない状況になっているとの報道があっていました。市民からは、「市のはしご車は買って10年以上になるが、オーバーホールをちゃんとしているのか?」との問い合わせがあっていたので、確認したのです。「1回はやり、来年度やる」とのことなので、地方交付税措置もあるので確実にするよう念を押しました。命に関わることはきちんと措置することが大事です。ちなみに、これまでマンション火災はなく、昨年度、「地上30メートルの鉄塔で動けなくなった作業員を救出するのに1回出動した」とのこと。しかし糸島市は、福岡市に近いため、前原を中心にマンションが多く、アパート、マンションなどの集合住宅は1000棟を超えます。備えが大事です。また、小さい子どもたちは、消防自動車が大好き。消防署に見学に来たとき、これらの車に乗せてあげるなどして、市民の安全を守る事の大切さを学ぶ機会にしてほしいですね。出火件数は、昨年度40件。そのうち、建物火災は23件。火災原因は、たき火7件、配線関係6件、たばこ5件などとなっています。