多面的機能支払交付金とは?
「そもそも、多面的機能支払交付金とは何ですか?」
「日当とは何ですか?」
という質問があったので、書いておきます。
農業、農村には、洪水や土砂崩れの防止、自然環境の保全、美しい風景の形成などの様々な働き(多面的機能)があります。農林水産省は、多面的機能が適切に発揮されるよう、都道府県・市町村と連携し、交付金により地域の共同活動を支援するようになりました。
平成20年度から25年度までは、「農地・水保全管理支払交付金」という名で行われ、平成26年度から制度の名称が「多面的機能支払交付金」に変わりました。
過疎化、高齢化等の進行にともなう集落機能の低下により、農地・農業用水路の適切な保全管理が困難になったことから始まった制度です。
「農林水産省 多面的機能支払交付金」で検索すると、たくさんの関係資料がでてきます。
下にリンクを貼っていますので、クリックしてみてください。
この交付金は、地域で話し合い、組織づくりや計画づくりを行い、それぞれの地域にあった取組に活用でき、活動参加者の日当や、必要な資材の購入等に使うことができます。
たとえば、土手の草刈りや農業用水路の泥上げ作業に出てきた人(農家、非農家)に対して、労賃として4千円とか8千円とかの日当を、支払うことができるのです。
交付金を受け取るためには、住民組織をつくる必要があります。その組織は、行政区とは全く別の組織であること、従って、総会や名簿が独自に必要なこと、農業用水路や農地の管理が目的なので、たとえば行政区が行う住宅地の環境美化にこのお金を使うことはできません。
市が監督責任を放棄
糸島市は、久留米市、柳川市についで交付金の額が多く、活動組織も81団体あり、年間交付額は1億5千万円です。金額はひとつの組織で数十万円から700万円を超えるところまでさまざま。
市にはPTA、障がい者団体など、補助金を受けている団体がたくさんあります。年間数万円の補助金であっても、毎年きちんと監査がおこなわれ、一円の間違いもないように指導されています。多面的機能支払交付金も公金である以上、法律の趣旨にそってきちんと使われなければなりません。
しかし今回、名簿や領収書、総会資料、金銭出納簿がズサンな組織があることがわかりました。長年日当(労賃)を払っていない、活動参加者を把握していない、領収書を勝手に作る…などのことは、あまりにひどすぎます。
行政区長や市の職員が関わりながら、書類が不備だらけ。受領書や領収書を他人が勝手に名前を書いて捏造するとは恐ろしい。松本嶺男前市長のときから月形祐二市長まで、長年にわたり市が監督責任を放棄してきた結果です。
交付金の返還をさせた佐賀県の例
佐賀県で数年前、上峰町という町で、ある住民組織が補助金を返還させられました。地域住民の合意を得ず、勝手に組織を作り、10年にわたって交付金を受け取っていたからです。
2017年12月18日付の朝日新聞の関連記事より
「上峰町で住民組織「大字堤(おおあざつつみ)地区農地・水・環境向上活動協議会」が住民の同意なしに設立・運営され、国などの交付金を受けていた問題で、町は組織の役員数人を詐欺の疑いで年内に刑事告訴する。武広勇平町長が15日、記者会見して明らかにした。
町は、協議会設立の2007年度から16年度までに支給された約3750万円の交付金全額がだまし取られた疑いがあるとしている。理由として、
(1)組織は住民から設立の同意を得ていない
(2)町には同意を得ていると虚偽報告していた
(3)交付金の使途を確認する書類が不備、などを挙げた。・・・」
どんな不正でもきちんと調べて適切な指導をし、再発防止を図る。場合によっては公表し、責任を取らせる。行政がそれをしなければ、まちは無法地帯となってしまいます。
その点、毅然と対処した上峰町の町長は立派というべきでしょう。
多面的機能支払交付金 関連ブログ1 リンク⇩
〇これのどこが農用地?環境美化のボランティア活動で農業の交付金を不正受給
〇ちよ便り35号~農業者に出方のお金が支払われていない ちよ便り26号、27号、29号、30号、32号、33号、34号、35号参照
多面的機能支払交付金 関連ブログ2
①多面的機能支払交付金の闇①領収書の偽造、補助金の水増しは犯罪
④ちよ便り26号~多面的機能支払交付金の不正受給とその隠ぺいについて
⑪ちよ便り30号~県への情報公開で大量の虚偽公文書発見(総会資料のねつ造、領収書の偽造…)
関連ブログ3~日当未払いと同じ構図