保育所の無償譲渡~「契約相手方法人」は設立されていなかった
(1)松本前市長の部下が月形市長の部下
2017年6月議会。写真左)答弁しているのは谷口俊弘副市長。右隣で笑っているのは月形祐二市長。写真右)答弁している月形市長。左に谷口副市長、右に洞孝文総務部長。市長の後ろは、馬場貢企画部長。
谷口副市長と洞部長は、2012年、松本嶺男前市長のもとで、林間施設の指定管理者選考会でヤラセをやり、わずか3カ月でキャンプ場と森林公園をフォレストアドベンチャーの経営会社に無償貸付する不正を実行しました。本当なら、職員に不正な事務を行わせ、市に多大な損害を与えた前市長とともに、警察で取り調べを受けるべき人たちでした。(法令順守①~④参照)
しかし、議会多数派が必死に隠蔽したおかげで、責任を問われることなく昇進し、月形市長のもとでも市の幹部であり続けました。(退職後、それぞれ天下り)
(2)「設立準備をしていれば法人と見なす」
糸島市では、「設立準備していれば法人と見なす」などの違法な事務が行なわれ、市には虚偽公文書があふれています。
・法人は設立されていないが、設立されたと見なす。
・福岡市の人だが前原の人と見なす。
・農業振興地域だが、そうではないと見なす。
・会議は成立していないが、成立したと見なす。
・お金を払っていないが領収書と見なす。
・貸付相手方だが、指定管理者と見なす。
・設立されていないが、実績があると見なす。・・・
きりがありません。まるで不正のデパートです。
私は松本前市長を、暴力団の組長、ヤクザの親分より悪い詐欺師と思ってきました。彼は税金を使い、マスコミを使い、全体の奉仕者たるべき職員を使って、自分のお友達、応援団の便宜を図りました。市長の権限を駆使し、ありとあらゆる不正を実行しました。
議会で市の違法行為を追及するのは私だけなので、彼らは平気です。去年、検察と警察に相談に行くと、「もっと議会でがんばってほしい」と言われました。市と議会の癒着のひどさをしらないからです。それに、虚偽公文書作成は重罪です。議会で市が本当のことを言うと思いますか。
上の写真にある2017年6月議会の答弁をみてみましょう。議長は谷口一成氏です。
(3) 議長「執行部は犯罪者か」 副市長「犯罪ではない」
伊藤千代子 地方自治法違反の議案が出たら、それは有効か?
洞孝文総務部長 地方自治法違反であれば有効ではない。
伊藤千代子 雷山保育所と井原保育所を無償譲渡する議案が可決をしたのはいつか。
藤田晋人権福祉部長祉部長 議決は平成19年3月27日であある。
伊藤千代子 2つの社会福祉法人が設立登記されたのはいつか。
藤田晋人権福祉部長 平成19年3月28日である。
伊藤千代子 議決は19年3月27日、議案の契約相手方の社会福祉法人の設立登記は3月28日。つまり、法人は議会が終わった後に設立されていた。虚偽の議案は公文書の偽造ではないのか。
谷口俊弘副市長 社会福祉法の第28条では、社会福祉法人の住所は、受託する事務所の所在地とするとなっている。
伊藤千代子 登記簿で存在しない相手方を議案に載せることは、犯罪として重大な問題だと思って取り上げている。
谷口一成議長 伊藤議員、今、重大な発言をされた。犯罪であると。白黒はっきりさせる。このままにしておくと、執行部は犯罪者みたいにとられ、あなたは正義の味方みたいにとられる。どっちが正しいのか、議長の権限において執行部の主張をさせます。今、犯罪者という呼ばわれ方をされたが、執行部は犯罪者か。
谷口俊弘副市長 虚偽に基づく議案を提案したとおっしゃっているが、私どもは、社会福祉法並びに募集要項等に基づき適正に処理したもので、犯罪でもなければ、条例、法令違反でもない。
谷口一成議長 全く違法でもないし、有効ですということでしょうもん。いいですか、伊藤議員、そういう答弁をしています。
議長が「白黒つける」というのは、執行部の言い分を認めさせることです。
(2)議案の契約相手方は設立されていなかった
しかし、谷口副市長の答弁は、保身のための真っ赤なうそ、虚偽答弁でした。ご説明しましょう。
2007年から2017年にかけて、市は5つの保育所と健康づくりセンターきららの湯の移管先法人を募集し、その財産すべて(総額およそ10億円)を民間に無償譲渡しました。契約相手方はすべて、市長や議員のお友達関係者でした。
2007年4月1日、当時の松本市長は、二つの保育所(雷山と井原)の財産すべてを、民間に無償譲渡しました。しかしその契約相手方は、どちらも無償譲渡の議案を議決したとき、設立されていませんでした。前市長は林間施設の無償貸付で違法行為を繰り返しましたが、それと同じことを、前原市長のとき、財産の無償譲渡でやっていたのです。道理で部下たちが不正な事務に手慣れていたわけです。
〇保育所の無償譲渡の議案
左は雷山保育所の財産を無償譲渡する議案です。契約相手方は、社会福祉法人桂信会 理事長吉田信行氏。
右は井原保育所の財産を無償譲渡する議案です。契約相手方は、社会福祉法人幸和会 理事長本田陽子氏。
2007年(平成9年)3月1日、松本市長が議会提案し、3月27日に議会が議決し、4月1日に無償譲渡の契約を結びました。
ところがです。下の登記簿によると、法人の設立年月日は2007年(平成9年)3月28日だったのです。つまり、市長が議案を提案したときも、議会が議案を議決したときも、法人はまだ設立されていませんでした。よって、この議決は無効でした。
当時市が「法人の選定をして、事業者を決定したから、議会に提案した」と説明したのは、真っ赤なうそでした。「法人」の選定をしていなかったからです。
「設立を準備していたら法人と見なす」という詐欺的手法で、虚偽の議案を作成し、議会に提案していたのです。
〇契約相手方の登記簿
「設立予定の法人は法人と見なす」という違法な事務が、前原市のときから行われていたのです。これほどまでにコンプライアンスの欠如した行政があるでしょうか。
この議案の元になった事業者決定書は、これです。↓
〇保育所の移管先法人決定書
雷山保育所の移管先法人は、( )代表者 吉田桂子 住所 前原市波多江1181番地
井原保育所の移管先法人は、( )代表者 本田幸太郎 住所 前原市波多江駅北三丁目22番23-101号
法人名のない移管先法人決定書が作成されていました。決裁したのは松本嶺男市長です。
そして下は、10年後の神在保育所の移管先法人決定書です。
神在保育所の移管先法人は、(法人名 いとしま子どもの会(仮称)設立準備会)
代表者は、 若尾勉 住所 福岡市東区三苫3丁目9番3号
決裁したのは月形市長です。谷口副市長、井土敏幸人権福祉部長、藤田子ども課長らが多数押印しています。
上記の三つの保育所の移管先法人は、すべて法人ではありませんでした。
後で調べると、神在保育所の件に関して、市の職員が「契約相手方法人は、無償譲渡の契約前日までに設立されたらよい」という事務をさせられたと聞きました。
利害関係者の法人設立が間に合わなかったら、決定書の作成時も、議案の提案時も、法人でなくてよい、契約の日に法人であればよい、という恐るべき事務です。
違法に失われた財産を、生活に困窮した子どもたち、市民のために使えば、どんなに多くの良いことができたでしょうか。(つづく)
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