虚偽の議案で財産の無償譲渡
左は2018年1月発行のちよ便り11号。右は2020年1月発行のちよ便り20号。どちらも政務活動費を使って作成した。財産の無償譲渡における不正のカラクリは2007年にさかのぼる。
(1)市長が二つの保育所の財産を無償譲渡する契約を結ぶ
2007年(平成9年)4月1日、松本嶺男前原市長は、市立雷山保育所を社会福祉法人桂信会に、市立井原保育所を社会福祉法人幸和会に無償譲渡する契約を結びました。
そのときの二つの建物の財産は、固定資産評価額で、雷山保育所が7058万1230円、井原保育所が4979万9350円でした。(5千点ほどあったはずの設備・備品については不明)。
園児数は、雷山保育所が150人。井原保育所が60人。合計210名の子どもたちの保育を安全に任せることのできる社会福祉法人を募集したはずでした。
(2)議案の契約相手方法人は設立されていなかった
2007年(平成9年)3月1日、上記の契約に先立ち、松本市長は3月議会に財産処分の議案を提案しました。市の財産を無償で民間に譲渡するときは、地方自治法で議会の議決が必要だからです。つまり、下の議案第39号と40号が議会で可決しなければ、無償譲渡はできなかったのです。
契約相手方は、
雷山保育所が社会福祉法人桂信会 理事長 吉田信行氏。
井原保育所が社会福祉法人幸和会 理事長 本田陽子氏。
松本市長は議会で「無償譲渡する契約相手方は、社会福祉法人」と説明し、議案39号と40号は、同議会で3月27日に議決しました。
このとき私は、市の説明と議案を審査した市民福祉委員会委員長報告を信じて、「契約相手方がちゃんとした社会福祉法人なら」と賛成の手を挙げました。
そして市長は、5日後の4月1日、吉田信行氏と本田陽子氏との間で、それぞれ無償譲渡の契約を結びました。
ところがです。
この契約から10年経った2017年の4月。私は公立保育所の無償譲渡に不審を抱き、よくよく調査したところ、上の二つの議案がどちらも虚偽だったことがわかりました。
なぜなら、社会福祉法人桂信会も社会福祉法人幸和会も、この3月議会では設立されておらず、実在していなかったからです。
(3)法人の設立は議会が閉会した翌日
その証拠は、下の「社会福祉法人設立認可書」を見れば、わかります。
麻生渡福岡県知事が、桂信会と幸和会を社会福祉法人として設立認可したのは、平成19年(2009年)3月28日だったからです。
つまり、法人の設立は、議会が終わった翌日でした。
市長が議案を提案した3月1日も、議案を議決した3月27日も、契約相手方の社会福祉法人は、未設立だったのです。よって、議案は虚偽公文書であり、無償譲渡の議決は無効だったのです。
設立されていない法人を議案の契約相手方にして「法人」と偽り、議会に提案していたとは、何というひどい詐欺市役所でしょう。
10年経って、私は自分がだまされて賛成していたことを知りました。松本市長の犯罪行為を見抜けず、うかつに賛成したことを、市民のみなさんに心から申しわけなく思います。
市長自ら虚偽の議案を提案し、虚偽説明をして議会をだますということは想定外でした。その後調べると、利害関係者の吉田信行氏は春田元前原市長の親しいお友達で、本田陽子氏は田中徹夫元前原町長の親族でした。どちらも前原の首長と深い関係にあり、Hグループ会長ともつながりのある人たちだったのです。
(4)懲戒処分をする市長が非違行為の先頭に
職員が、パワハラや虚偽報告、虚偽公文書を作成したら、市長が懲戒処分をする権限を持っています。ところが糸島市では、前原市のときから、選挙で選ばれた市長が先頭に立って非違行為を行ない、大勢の職員に違法な事務を市役所ぐるみでやらせてきたのです。
虚偽の議案を議決したとき、松本市長や市長の取り巻き議員らが「うまくいったぜ」「伊藤千代子も賛成したばい」と言ってゲラゲラ笑ったかどうかは知りませんが、ずいぶん喜んでいた議員がいたのを覚えています。
その後も同じ手法のインチキ、イカサマを繰り返し、10年ですべての公立保育所を有力者らに無償譲渡したことを思うと、あまりに市民を馬鹿にしています。
しかも市の執行部は、ここ数年、私の議会での指摘に「違法ではない」と開き直っています。コンプライアンスのあるまちづくりは、市民が不正のカラクリ、水面下の真実を知る以外にありません。(つづく)
2007年当時の状況
2007年(平成9年)当時の「前原の風」。当時私は日本共産党の議員。公務員倫理も法令順守もない癒着なれ合いのまちでいいのか?と問い続けてきました。
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