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17)合併で私腹を肥やす

17)合併で私腹を肥やす


深江保育園

社会福祉法人春陽会に無償譲渡される前の深江保育所


(1)元市長の法人1者だけの応募

ある人から「自分は移管先法人の役員になってくれと頼まれ、名前を貸したが、本命ではなかったのだろう。あれから何も言ってこない」と聞きました。

5つの市立保育所の移管先法人選定のためにいくつもの当て馬が用意され、たくさんの人が関わりましたが、その中には真相を知らずに当て馬の理事や監事、主任保育士に名前を使われた人もいたということです。

市立深江保育所の場合はどうだったでしょうか?

市は「財産を無償譲渡するのは、たくさんの法人が応募できるようにするためである。有償にすると、資金のある法人しか応募できない」などと説明しましたが、「保育所財産の無償譲渡」という情報を広報で一般市民には知らせず、深江保育所の移管先法人に応募してきたのは、元前原市長の社会福祉法人春陽会だけでした。


(2)選定委員は元市長の関係者ばかり

2014年に月形市長が任命した8人の選定委員の名簿をみると、全員、糸島市、及び春田氏(春陽会)と関わりがある人ばかりです。

委員のひとり井土敏行人権福祉部長は、前原市時代、春田市長の忠実な部下でした。また保育協会の代表で任命されていたF氏は、春田氏が市長選挙に立候補したときの応援団長でした。

そして事務を担ったのは元市長のかつての部下たちでした。つまり、すべての事務が市と利害関係者につながる人たちで行われていたのです。


(3)合併で増えた元市長の資産 拡大した事業

元前原市長が前原市の財産をタダでもらうとなると、「財政難なのに何言ってんだ!」という声が上がり、住民の理解を得るのはまず不可能。

しかし、前原市、二丈町、志摩町が合併し糸島市になってから、元前原市長が旧二丈町の財産と保育所の経営権をタダでもらうのなら、世論の批判をかわしてよりスムーズに実行できます。

実際に市は、旧二丈町唯一の公立保育所だった深江保育所を、合併して5年後に元前原市長にタダでやりました。合併の裏側は利権まみれでした。

下は、社会福祉法人春陽会の法人報告書です。


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春田氏は、前原市長の時、怡土中央台保育園の園長でしたが、2010年の1市2町の合併後、2015年4月1日に深江保育所を糸島市から無償譲渡され、その後さらに二つ保育園を福岡市に増やしました。

建設費合計額は、怡土中央台保育園が12億2143万円、深江保育園が0円、恵愛ソレイユ保育園が1億6070万円、中比恵ソレイユガーデン保育園が2億6042万円と書いてあります。

春田氏は有名な資産家であり、市は財産を無償譲渡などせず、適正な価格で譲渡すべきだったのです。


(4)被災者には鍋(なべ)ひとつタダでやらない

いとう~保育所にはピアノとか厨房機器とかの高額な備品があったが、建物だけではなく、備品もすべて無償譲渡したというのは本当か。

市~議会、委員会でも御説明をしてきた。備品も無償譲渡させていただいた。

いとう~会議録のどこを調べても説明した記録はない。

 深江保育所の備品について調べると、ピアノが4台、ベッドが5台、棚が40個、机が21個、椅子が112個、音響機器2台、扇風機2台、掃除機2個、室内遊具40個、テント5つ、滑り台、ブランコ、ジャングルジム、アスレチック、上り棒、太鼓橋、舞台設備が6個、応接セットに冷凍冷蔵庫が2台、ガスレンジ2台、などなど2874の備品を春陽会に無償譲渡した。

春陽会は、元前原市長の法人ではないのか。

市~そのとおりである。

いとう~議会で深江保育所の財産を処分する議案が可決したが、建物を無償譲渡すると書いてあり、備品のことは一切書いてない。職員が備品を1個でも黙って持って帰ったら犯罪だ。議決しないで3000近い備品を無償譲渡していいのか。

市~本市には、糸島市財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例があり、第6条に公益上の必要があれば、備品については私人に対して無償譲渡ができるという条文がある。議会の議決を諮らなくてもよい。

いとう~話を聞いていると悲しくなる。糸島市には、年金暮らしの高齢者や非正規雇用の若者、貧困で苦しんでいる人がたくさんいる。火事で家が焼けて全てを失っても、(床上浸水で家が流されても)見舞金はわずか6万円だ。そんな被災者に市から「お鍋は困っていませんか」「ガスレンジは困っていませんか」と、タダであげたりはしない。

(以上、2018年6月議会から)。


(5)二つの社会福祉法人への補助金は年間約7億5千万円

いとう~市内で保育園を運営している社会福祉法人は幾つあるか。それらの法人に昨年度、市が交付した運営補助金の総額はいくらか。

市~保育園を運営している社会福祉法人は16法人である。平成30年度、市は運営委託料と補助金を合わせて29億2990万円を法人へ交付した。

いとう~春陽会は元前原市長が経営する法人だが、昨年度、春陽会への補助金総額はいくらか。

市~昨年度は、運営委託料と補助金合わせて3億9046万円を春陽会へ交付した。

 いとう~平成27年4月1日に、市は長糸保育所も無償譲渡した。5千万円ほどの財産価値があったと思うが、無償譲渡した社会福祉法人はどこか。

市~社会福祉法人秀美会である。

いとう~秀美会へは、昨年度、市は幾らの運営補助金等を交付したか。

市~秀美会への平成30年度の交付額は、運営委託料、補助金合わせて3億4646万円である。

いとう~秀美会が、行政から財産を無償譲渡されたのは何回目か。

市~2回目である。

いとう~長糸保育所の前にどこを無償譲渡したのか。

市~(旧二丈町の)一貴山保育所である。

(以上、2019年12月議会から)。


1995年、私が白鳩保育園の保護者会長をしていたとき、上記のF氏が春田氏といっしょに来園し、保護者を前に「春田園長が市長選に立候補するのでご支援を」と訴えました。二人は親友の間柄だと聞きました。

1998年、私は前原市議に初当選し、以来、違法行為がまん延する市との闘いを20年以上も続けてきました。公務員の知識を悪用し、巧妙で計画的組織的な不正によって、ばく大な税金と財産が無駄づかいされている実態を見逃せなかったからです。

2002年、春田市長のとき、三嶋兵蔵元前原町長が絡んだホテル救済の道路計画に反対したため、議場の前で元町長の応援団に取り囲まれ、暴言を浴びせられ吊し上げにあいました。その様子をニタニタ笑って見ていたボス議員の顔は一生忘れません。 (つづく)



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