16)当て馬だった架空法人
無償譲渡する前の市立長糸保育所
(1)法人と架空法人を面接審査(プレゼンテーション)
2014年(平成26年)5月30日金曜日、13時半、市役所第二庁舎3階会議室において、「糸島市立長糸保育所移管先選定委員会」が開かれ、月形市長が任命した9名の委員による「法人」への面接が行われました。
面接審査(プレゼンテーション)は、それぞれの法人に対して30分。選ばれると、長糸保育所の財産(建物、備品)をすべて、3月議会の議決を経て無償譲渡されることになっていました。(しかし、それを市民に知らせていなかった。)
審査対象は、社会福祉法人碧晟会、社会福祉法人ますみ会、社会福祉法人秀美会の3者。
しかしもう、みなさんはご存じです。「社会福祉法人碧晟会」は、消防本部次長が理事長を名乗って応募した実在しない架空のニセ法人だったということを。
委員会が「碧晟会」を面接審査した時の会議録が2ページあります。その1ページ目が下。
選定委員会は、なんと架空の法人「碧晟会」を「法人」と見なし、「法人」「理事長」と呼んで面接していました。この委員会には井土敏行人権福祉部長が選定委員の1人に任命されていました。
(2)3者の採点結果
社会福祉法人碧晟会、社会福祉法人ますみ会、社会福祉法人秀美会を審査し、採点した結果は以下の通りでした。面接以外に、書類としては社会福祉法人の概要、役員名簿、財務調書などが審査されました。
碧晟会の点数=1021点 ←実在しないニセ法人
ますみ会の点数=1049点
秀美会の点数=1223点
その後の流れは、以下のようになっていました。
1,移管先選定委員会が最高点の「社会福祉法人秀美会」を長糸保育所の移管先法人に選定。
2,月形市長が、「社会福祉法人秀美会」を長糸保育所の移管先法人に決定。
3,井土人権福祉部長が上記の決定書に基づき、長糸保育所の財産を無償譲渡する「財産の処分について」の議案を作成。
市長決済の法人決定書
月形祐二市長、谷口俊弘副市長の印鑑が押してある。
↓
部長が作成した「財産の処分について」の議案
市立長糸保育所の建物を、平成27年4月1日、社会福祉法人秀美会に無償譲渡するという議案。
(3)「応募の基準は社会福祉法人に限定した」という嘘
2014年12月1日、月形市長は、12月議会に上記の議案を提案しました。
その2日後の12月3日、井土人権福祉部長が議会で「応募の基準は、社会福祉法人に限定しました」と説明しました。
しかし、それはうそ。虚偽説明でした。社会福祉法人に限定などしておらず、架空の実在しない法人の応募を許し、いっしょに審査していたからです。
しかもその架空法人は、同じ執行部仲間の同僚が、法人の理事長を名乗って応募していたのだから、内部で架空法人の当て馬をつくって法人選定に加えていたということです。
2012年2月3日、キャンプ場や森林公園など林間施設を無償貸付するため、当時の松本嶺男市長に命じられて谷口俊弘副市長、洞孝文農林水産部長、農林土木課長ら市の幹部が指定管理者選考会を開き、実在しない会社を「ある」と偽って事業者選定するやらせを行いました。
あのときと同じことを、保育所の無償譲渡でもやっていたのです。卑劣にも当て馬まで用意して。
私以外に市の違法行為を「おかしい」と追及する議員がいないので、みんな平気なのでしょう。警察もマスコミも手玉にとって不正まみれだった松本前市長。それを受け継いだ現市政にも公務員倫理、コンプライアンスはありません。(つづく)
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