14)「社会福祉法人仲西徹登」
法人募集に個人を参入させる
2012年に松本嶺男市長(当時)が、フォレストアドベンチャーに係る林間施設の無償貸付で、谷口俊弘副市長や農林水産部長を使ってヤラセの事業者選定をした経緯を詳しく書きました。市長自ら「存在しない会社」を指定管理者に決定し、虚偽の議案を議会に提案するなど、何でも賛成の議会を後ろ盾にやりたい放題でした。
2013年(平成25年)11月、次に松本市長は、保育所財産の無償譲渡を前提にした長糸保育所と深江保育所の移管先法人を募集しました。それが上の「広報いとしま2013年11月15日号」の広告です。
(1)「民間移管先の法人を募集します」
広報には大きく「民間移管先の法人を募集します」と書いてあります。保育所の移管先法人に選ばれると、2015年(平成29年)4月1日に、市から建物・設備・備品すべてを無償譲渡されることになっていました。
長糸保育所と深江保育所の定員は、どちらも90人。築10年前後の立派な建物でピアノや厨房機器をはじめ、それぞれ3千点もの設備、備品がそろっていました。
移管先法人の応募期間は、2014年(平成26年)1月20日(月)~2月28日(金)。どんな法人が応募してきたのか?
(2)法人の応募者リストに「社会福祉法人仲西徹登」
4者の名前が書いてあります。
社会福祉法人仲西徹登
社会福祉法人ますみ会
社会福祉法人秀美会
社会福祉法人春陽会
ますみ会、秀美会、春陽会は、糸島市内の社会福祉法人。春陽会は、春田整秀元前原市長の経営する法人です。しかし、「社会福祉法人仲西徹登」なる法人が本当にあるのか?
上は、移管先法人の申込書を受理した決定書です。今度は「仲西徹登(社会福祉法人設立予定)」と書いてあります。
決裁印を押したのは、井上日出海人権福祉部長。なぜ部長は、「法人を募集します」と広報に載せながら、「法人設立予定」の申込書を受理したのでしょうか?
(3)仲西徹登氏は市の幹部
移管先法人募集の「応募書類」には、以下のようにたくさんの提出すべき書類がありました。
選定委員会審査検討資料
(1) 社会福祉法人の概要
(2) 財務関係調書
(3) 理事長(代表者)、施設長、主任保育士の履歴書
(4) 保育所運営等に関する考え方(7項目)
(5) 保育事業計画書
たとえ仲西氏が「個人で応募したい」と言ってきても、「これらが提出できないから、無理だ」と断るのが法令に基づいた対応です。
それをこっそり応募させていたのは、別な目的があったからと考えられます。
そもそも「仲西徹登」とはだれでしょう? 実は仲西氏は移管先法人に応募したとき、市の幹部職員だったのです。
応募書類に添付された履歴書がこれです。
名前と日付以外、学歴も職歴も黒塗りされていますね。見られたくない書類だから、塗りたくっているのですが、間違いなく、応募した平成26年2月19日現在、仲西氏は糸島市の幹部職員でした。
私が調べると、松本前市長が糸島消防本部の警防課長だった仲西氏を次長に昇進させたのは、2013年(平成25年)4月1日でした。次長とは消防長に次ぐポストです。
その年の9月議会の会議禄がここにあります。9月20日の決算委員会で、私の質疑に仲西次長が答弁した記録です。
仲西氏が糸島消防本部を退職したのは、2014年(平成26年)3月末。よって、応募した同年2月19日は、まさしく糸島消防本部次長の職にあったのです。
(4)市長が職員に「法人」としてPRを要請
上の文書には、
「平成26年3月3日 仲西徹登様 糸島市長 月形祐二 糸島市立長糸保育所移管先申し込み書の受理について(通知)」と書いてあります。
つまりこれは、市長が市の幹部職員に、法人募集への応募を認めた前代未聞の公文書です。
私が赤線を引いたところをご覧ください。「面接の中で、法人からの保育内容等の説明(PR)をお願いします」と書いてあります。
市は、仲西氏が法人ではないのを知りながら、法人としての説明を求めているのです。仲間内でのやらせです。
2012年(平成24年)2月3日の林間施設指定管理者選考会のときと同じです。指定管理者選考会で、株式会社は実在しないのに「株式会社」と偽り、副市長、部長、課長が見事なやらせの演技をして、審査、採点をしたときと同じです。
しかし、いくら市長が許しても、個人は法人ではありません。そこで市は、個人を法人に見せかける虚偽公文書をつぎつぎ作成していきました。(つづく)
当時の写真と施設概要
長糸保育所
深江保育所
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