右は賃貸借契約書。去年の6月議会で「会社の住所が違う」と指摘したら、市が書きなおした。重要な契約書にもかかわらず、訂正印がない。(今年4月時点)
樋の口ハイランドを年間10万円で借りてビジネスをしている会社は、東京の(有)パシフイックネットワーク
いとう 合併前、筒井秀来二丈町長が編さんした二丈町史には「自然を生かして整備された名所・樋の口ハイランドは、平成5年、森林公園として一貴山に2億7,400万円をかけて開設をされた。標高400メートルからの眺めはすばらしく、芝スキー場や新緑、紅葉など四季を通じて楽しめる」と書いてある。設置目的、公園面積をうかがう。
市 目的は、緑と触れ合いながら森林の大切さを認識し、自然環境についての関心を高め、研修及び交流の場としての活用を図り、もって林業の振興に資すること。面積は、約19.5ヘクタール。
いとう 観光協会のホームページには、「樋の口ハイランドは玄界灘の眺めを一望でき、広大な園内には桜、ツツジ、シャクナゲ、モミジが目を楽しませてくれる。特に5月初旬のシャクナゲ園は見事です」と書いてあった。森林浴が楽しめる3キロの遊歩道。園内を流れる小川では、子供たちが大好きな水遊びができる。公園の案内板にはパラグライダーの基地もあると書いてあった。この樋の口ハイランドは入場料が必要か。
市 入場料は必要ない。
いとう 樋の口ハイランドは白糸の滝から西へ何キロか。
市 約5キロの地点にある。
いとう 以前は「樋の口ハイランドで高原のさわやかな空気の中、お弁当を持ってのピクニックや草スキー、遊歩道の散策を楽しんだらいかがでしょうか」とあった。しかしいま、観光マップから樋の口ハイランドの名前が地図から消えて、フォレストアドベンチャー・糸島というアトラアトラクションの会社の名前に変わっている。樋の口ハイランドは廃止されたのか。
市 以前(平成24年3月議会で)、設置条例を廃止し、公の施設ではない。今は旧樋の口ハイランドという言い方が正確。
いとう ここで事業を展開している会社は、どこの何という会社か。
市 東京都の有限会社パシフィックネットワークである。
いとう 平成24年7月20日に市が会社と結んだ事業用定期借地権設定及び定期建物賃貸契約書がここにある。樋の口ハイランドの面積の何%をいつまでこの会社に貸す契約をしているのか。
市 土地の賃料は5万8,350円、建物の賃料は4万5,040円、年間10万3,390円。貸し付け面積は、敷地の全域である。契約終期は、令和5年3月31日。
いとう 福岡県が何年もかけて森林を切り開き、市民、住民が自然と触れ合いながら森林の大切さを学ぶ、その公園をわずか10万円で東京の会社に貸して、余りに安過ぎると思うがいかがか。
市 賃料等の積算は、糸島市行政財産の使用に関する条例に基づいて算出をしている。
いとう 施設でなかったら行政財産ではない。
無料だった樋の口ハイランドを廃止してビジネスに使わせている。フォレストアドベンチャーの利用料金は大人3000円、子ども2600円だ。お客は年間4万人近く大変な売り上げだが、一部は市の財政に入るのか。
市 市の財政のほうには入らない。
解説 《公園のままでは、営利企業に貸せない》
市の公園(施設)は、地方自治法で貸付を禁じられています。多額の税金を使って作られた住民のための施設を、営利企業に独占的に使わせてはいけないのです。当然ですね。
そして行政財産は、地方自治法で貸付を禁じられています。森林公園は、産業振興施設として明確な目的をもって作られた市の財産(行政財産)です。
ではなぜパシフイックネットワークは、森林公園樋の口ハイランドを使って、自由にお金もうけができるのでしょう?
「地方自治法違反ではないか?」と誰でも思いますね。
それに対する市の答弁はこうです。
「平成24年(2012年)の3月議会に「森林公園を廃止する」議案を提案し、議会で議決いただいた。設置条例が廃止されて、樋の口ハイランドはもう公園ではない。タダの20万平方メートルの土地と建物になった。だから、貸付ができる」と。
みなさん、森林公園樋の口ハイランドは、現在、存在しません。存在してはいけないのです。もし公園のまま貸し付けていたら、地方自治法違反です。地方自治法違反だと、市長と金丸社長が結んだ賃貸借契約書は無効になってしまいます。
だから「公園は廃止した」と市は答弁したのです。
ところが、この「森林公園を廃止する」議案には虚偽がありました。(つづく)
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