夕べのNHK特集は、見ごたえのある番組だった。
合併した九州内の市町村のその後を「検証」した75分のスペシャル。
とにかく、一ヶ所も「合併してよかった!」という町、住民がでてこない。
「合併しなければよかった」
「大きくなっていいことはない」
「周辺部は人口が減って、過疎がひどくなった」
「いままで町役場がすぐ対応してくれたのに、合併した市役所に行き相談しても、すぐに対応しない」・・・
合併によるサービス低下で、住民が憤りとやるせない思い、さまざまな辛さを味わっている様子が、映像でリアルに伝わってきた。
喉頭がんの手術で、話すことができないひとり暮らしの六十代男性。
小さな村の社会福祉協議会がやっていたデイサービスは、職員が顔なじみで、言葉が話せなくても心は通じ合っていたから、楽しく通うことができた。
しかし合併で、村の社会福祉協議会はなくなって、日田市の社協から新しい職員が配置され、コミュニケーションが取れなくなり、サービスを受けられなくなってきた。
たった一人の家で、居間にぽつんと座って、さびしげにラジオを聴く姿が、テレビに映し出されていた。
「周辺町村に行くと、合併しなければ良かったといわれます・・・」と日田市の市長。
合併後、日田市は63億円の巨費をつかって豪華な文化会館を建設中だ。
最後に紹介された人口わずか2500人の大分県の姫島村。合併協議会を離脱し、国東市に合併せず、自立の道を歩む。私が住む池田北南行政区より少ない人口の村。
その村の自治体としての政策は、スゴイの一言。村人の医療、福祉が優先課題。
村営の診療所では、予防・治療・介護の連携で、全国の先進地。全国で足りない小児科医もふくめ、24時間365日、医療体制がととのっている。
隣には、30人入所の介護施設。
そこには、デイサービスに100人のお年寄りが通ってくる。
そのお世話を生き生きいているのは、顔なじみの村の職員35人。
日本全体で、福祉、教育の職員を減らし続け、人件費削減をジャンジャンやっているとき、なんと、この村では、2500の人口で職員が202人もいるのだ。
漁業が衰退するなかで、村役場が唯一の雇用の場所であると、長年ワークシェアリングで、村人を役場職員として雇用してきた。(国の給与水準を100とすれば、平均市町村は97、姫島村の給料は73)
村長が言う。「小さいから、いろんなことができる」節約するところは節約し、住民の命やくらしにかかわるところでは、きちんとお金を出す。
優先順位は、無駄な公共事業ではないところが、すばらしい。
うちの町内と変わらない人口で、診療所や介護施設や役場があるなんて。
こんなに身近だと、住民の要望より利権が優先されることもないだろう
それにしても、国の責任は大きい。
地方交付税を削減するな、元に戻せ!地方を苦しめるなと言いたい。