前原東中学校では、築十年過ぎたくらいで雨漏り、電気配線の異常などが始まり、私が役員をしていた10年前には、築15年で、先生やPTAから「老朽化」を理由に「全面改築」の要望が出ていた。
しかしコンクリートの建物なら、メンテナンスさえきちんとすれば、50年は使える。
実際、国は、前面改築する場合、築50年経たないと、補助金を出さない。
なぜ前原の学校は、こんなにも老朽化が早いのか?
6年ほど前、富山県小矢部市の中学校を視察したとき、築20年くらいなのに非常に頑丈で、建物がしっかりしているのに驚いた。
この違いはどこにある?
数十億もの税金を使う公共施設は、市民の貴重な財産。同じお金をかけて、きちんとした公共建築物をつくるかどうかは、市の財政に大きな影響をあたえる。
あの耐震偽装事件では、耐震基準に満たない欠陥マンションを買った人たちが、深刻な被害にあった。
国が、建築確認を民間委託したのが、大きな問題で、建築業者と検査する会社が利害関係があったり、関連会社だったりして、きびしい検査ができていなかった。
さきほどの小矢部市の学校では、きちんと施工するよう、市は、しばしば建築現場を見に行っていたそうだ。
いいかげんな建築は許さないぞという建築士の資格をもつ市長の姿勢もあった。
ところが前原市は、市が施工検査をするのは、建物が建ち終わってから、竣工検査をするだけ。
つまり、最後に外から見るだけで、肝心の建築とちゅうの施工検査は、設計会社に任せているのだ。
ある建築業社は言う。
「同じ市内で商売している設計会社と建築会社は、お互いに客を紹介しあう、言わば持ちつもたれつの関係。きびしい施工検査なんてできませんよ」
手抜きの公共事業をされたら、ぼう大な税金の無駄遣いになる。
適正な施工を確保するためには、きびしい検査体制が必要だ。
年間何十億の工事がきちんと検査されれば、よい建物が建ち、大きな税金の節約になる。
だから、公共建築物の施工管理は、市が直接、検査するシステムに変えるべきと思う。
大館市などでは、契約検査課が、丸投げのような重大な違反を防止するため、きびしい「施工管理」をしている。
現に、子育て支援センターの建築において、設計会社は実に簡単な建築業者の虚偽を、工事終了まで見抜けなかった…。(続く)