架空法人の理事長は消防幹部
市長、前市長、元市長が不正に関与
ちよ便り33号
ちよ便り33号~不正の程度がひどすぎるので臨時発行。架空法人碧晟会(へきせいかい)の役員には、前教育長や元教育委員会委員長(元校長)などがずらり名前を連ねていた。子どもたちに「詐欺は悪いことだよ」と教えるべき人たちが、なぜ架空法人を当て馬に使ったヤラセに加担していたのか?
職員を使った特殊詐欺で市の財産を元市長らに無償譲渡
市は、市立保育所5件の移管先法人選定で架空法人を使ったヤラセを行ない、総額およそ5億円の財産を、有力者らに無償譲渡しました。
2008年度から17年度まで、松本嶺男前市長と月形祐二市長が、十年かけておこなった「保育所財産の無償譲渡」は、特殊詐欺とまったく同じやり方でした。
申請者の住所や名前をごまかし、職員に「当て馬」や「審査委員」を演じさせたのです。
架空法人碧晟会(へきせいかい)
2015年、市は、深江保育所と長糸保育所の建物、設備、備品数千点と保育所の経営権を、春田元前原市長らに無償譲渡しました。
この事業者選定で、市は「4法人が応募した」と議会で説明しました。しかしこの中に、架空の法人が含まれていたのです。
右下は、社会福祉法人・碧晟会(へきせいかい)が、14年2月19日、市に提出した申請書です。「理事長仲西徹登」とあり、申請理由に「私どもは、地域住民が主体となって運営する長糸の社会福祉法人」と書いてありました。
しかし私が調査すると、このとき仲西氏は糸島消防本部次長で、碧晟会は実在しない架空法人でした。
消防本部ナンバーツーが、「法人の理事長」と偽り、月形市長に申請書を提出し、市が法人選定に加えるヤラセを行っていたのです。
当て馬だった架空法人
市は、同年5月、実在しない架空の法人碧晟会を「法人」「理事長」と呼んで市役所で面接し、落選させました。
選ばれる本命は初めから決まっており、「社会福祉法人碧晟会」は当て馬として使われたのです。
理事には、行政区長や前教育長、元職員らが名前を連ね、職員が職員を審査する「市役所ぐるみのヤラセ」でした。
無償譲渡~市役所ぐるみの詐欺的手法
●2013年10月、松本市長が「広報いとしま」で深江保育所と長糸保育所の「移管先法人」を募集
●2014年2月、消防次長が「社会福祉法人理事長」を名のり応募。市が申込書を受理
●市長が部課長、行政区長、利害関係者らを事業者選定委員に任命。審査する側もされる側も、ほぼ身内で固める
●事業者選定委員会が開かれ、架空法人を「法人」として審査、採点し、当て馬を落選させ、本命を選ぶ
●市長が「法人決定書」を決裁
●部長が保育所財産を無償譲渡する「議案」を作成
●2014年12月、市長が議案を議会に提案
●部長が「応募者は社会福祉法人に限定した」と議会で虚偽説明
●市民福祉委員会が議案を審査しないまま可決
●議会が深江保育所を社会福祉法人春陽会に、長糸保育所を社会福祉法人秀美会に、それぞれ無償譲渡する議案を議決
●2015年3月、月形市長が春田元市長らと無償譲渡の契約を結ぶ (法令違反の事務は地方自治法上、無効)
警察の捜査中に不正を実行
2012年2月、福岡県警は、下水道課職員が官製談合を行った容疑で、糸島市役所を捜索しました。この捜査中にも、松本前市長は不正を実行しました。
副市長や部課長に命令して、会社がないのに「ある」と偽り、ヤラセの事業者選定を行わせ、二丈木の香ランドキャンプ場と森林公園樋の口ハイランドを、議員の知人に無償貸付したのです。
4月には、会社の設立年度をごまかし、勝手に業者を決定して、リサイクルプラザの業務委託費約8千万円を随意契約しました。
月形市長はこれらの違法契約を全部引き継ぎ、今も市にばく大な損害を与えています。
「きららの湯」も不正
警察の目をごまかしてヤラセを実行した副市長や部長は、2017年の「二丈温泉きららの湯」の無償譲渡にも関わりました。
談合事件が終結した後、議員の要望に応える形で、きららの湯を民営化し、無償譲渡したのです。
ここでも月形市長は、応募資格のない会社の申請を受理させる不正を行いました。
議会を味方に、警察も恐れず、市はやりたい放題です。
事業者選定の不正
2009年 雷山保育所と井原保育所の無償譲渡
2012年 キャンプ場と森林公園樋の口ハイランド無償貸付
2012年 リサイクルプラザの業務委託先選定
2015年 深江保育所と長糸保育所の無償譲渡
2017年 神在保育所の無償譲渡
2017年 きららの湯の無償譲渡
住所、職業、法人名をごまかす違法行為の数々 その1
国、法務局、裁判所を騙す
市が不正を認めず、ますますエスカレートするため、これからは虚偽の公文書を公開します。市は職員や元職員、行政区長、利害関係者をヤラセに使いました。出世や天下り、受注の見返りがあると、誰も秘密を漏らさないからです。
国や県の職員を騙し、虚偽の公正証書まで作っています。市の虚偽答弁が、裁判の証拠に利用されたこともあります。実に恐ろしい市役所です。
まちぐるみ不正の温床
糸島市では、不正に関わった職員がつぎつぎ出世し、職員採用試験や大型公共事業を担当したりしました。
退職後は行政区長や人権擁護委員、保護司、コミュニテイーセンター、シルバー人材センター、社会福祉協議会、県の施設等に天下りし、まちぐるみ不正の温床になっています。
虚偽文書が日常的に作られ、ばく大な税金が無駄づかいされています。市の開発でぼろもうけした議員。農振除外で便宜を図ってもらった議員、補助金から役員手当をもらっていた議員…
市のおかげでメリットを受ける議員らが、市長を応援し、市の不正を隠蔽する役割を果たしてきたのです。
子ども達に胸の張れる法令遵守のまちを!
多面的機能支払交付金では、不正を告発した住民が行政区長(=市非常勤職員)からパワハラをうけ、村八分にされましたが、市は保身のため、見て見ぬふり。人権侵害を助長しています。
市の年間予算約800億円が、利権に引きずられず、市民のためにきちんと使われる必要があります。
「市は不正をやめよ」「うそをつくな」「えこひいきするな」の声を広げましょう。
将来を担う子どもたちのために、法令を遵守するまちにしましょう。
2023年6月1日 伊藤千代子