市長が不正に関与した人を政治倫理審査会委員に任命
①広報いとしま2023年11月号「政治倫理審査会」
昨年の広報いとしま11月号に、月形祐二市長が政治倫理審査会副会長仲西まゆみ氏から審査意見書を受け取ったニュースが載っていた。
政治倫理審査会は、市長や議員が自己の地位による影響力を不正に行使して利益を図らないよう資産報告書の審査を行うための機関であるが、委員の任命権は市長にある。
私はこれを読み、市民を馬鹿にしている、茶番だと思った。なぜなら仲西まゆみ氏は、2014年に行われた市立保育所の移管先法人選定において実在しない架空法人の「施設長」を名乗って事業者選定に関与していたからである。
市長はそれをよく知っており、自らもその不正に関わって重要な役割を果たした。したがって、お二人は一緒に悪いことをした仲間であり、政治倫理を語る資格などない。
②広報いとしま2013年11月号「法人募集」
話は10年前にさかのぼる。
2013年11月、市は長糸保育所と深江保育所の民営化を口実に移管先法人の募集を発表した。それが上の「広報いとしま11月15日号」である。
広報には「民間移管先の法人を募集します」と書いてある。移管先法人に選ばれると、2015年4月1日、市から保育所の建物・設備・備品すべてを無償で譲渡されることになっていた。
建物は立派でピアノや厨房機器をはじめ、それぞれ3千点もの設備、備品がそろっていた。そのうえ、市から交付される保育の委託料は年間およそ1億円程度の予定だった。
市に代わって2か所、180人の児童を健全に安全に保育できる移管先法人の選定は、条例や規則に基づいて公平公正に行われなければならなかった。
しかし、事業者選定でヤラセをした経過を見ると、無償譲渡先は始めから決まっていた。深江保育所は、元前原市長春田整秀氏の社会福祉法人春陽会に。長糸保育所は、無償譲渡は2回目の社会福祉法人秀美会に。
③実在しなかった「社会福祉法人碧晟会」
長糸保育所と深江保育所の移管先法人の募集期間は、2014年1月20日(月)~2月28日(金)だった。それに応募したのは、
1、社会福祉法人碧晟会(へきせいかい)
2、社会福祉法人ますみ会
3、社会福祉法人秀美会(しゅうびかい)
4、社会福祉法人春陽会(しゅんようかい)
の4つの社会福祉法人だったが、社会福祉法人碧晟会は実在しない架空の法人だった。しかし市は、碧晟会の申請書を受理して法人選定に参入させた。
それはなぜか?
ヤラセの法人選定には当て馬が必要だったからである。
④糸島消防の幹部職員が法人理事長になりすまし応募
2014年2月19日、社会福祉法人碧晟会が市に提出した「移管先法人申込書」である。
糸島市長 月形祐二様
(申請者)法人名 社会福祉法人碧晟会
理事長(代表者)名 仲西徹登
と書いてあるが、事実ではない。平成26年2月19日、仲西徹登氏は糸島消防本部次長の職にあり、月形市長の部下だった。同氏が糸島消防を退職したのは同年の3月末日である。
したがって、社会福祉法人碧晟会 (へきせいかい)は、糸島消防幹部が理事長になりすまし、事業者選定に応募した架空のニセ法人だった。
それを同じ執行部仲間の部課長らはみんな知っていた。谷口俊弘副市長も馬場貢部長(現副市長)も見て見ぬふりをして、市役所ぐるみの不正を実行したのである。
⑤「法人代表」として面接を受けた仲西氏
2014年5月30日金曜日、13時半、市役所第二庁舎3階会議室で、市長が任命した9人の委員によって、「保育所移管先選定委員会」が開かれた。
面接審査(プレゼンテーション)は、それぞれの法人に対して30分。ここで選ばれると、深江保育所と長糸保育所の財産(建物、備品)をすべて、3月議会の議決を経て無償譲渡されることになっていた。
このとき、審査会は「碧晟会」が法人ではないとわかっていながら「法人」とみなして面接した。
その面接に碧晟会の代表として出席したのが、仲西徹登氏と仲西まゆみ氏だった。仲西徹登氏は「理事長」として、仲西まゆみ氏は「施設長」として、それぞれ市に履歴書を提出していたのである。
⑥市長が法人決定書を決裁、部長が無償譲渡の議案を作成
2014年6月16日、ヤラセの事業者選定の後、移管先法人に春陽会と秀美会が選ばれ、月形市長が決済した。それに市長以下、谷口俊弘副市長、井土敏幸人権福祉部長らが印鑑を押した。
自作自演のヤラセによって事業者選定をした結果の決定書であり、本来は無効であった。しかし、この決定書をもとに、井土人権福祉部長は財産処分の議案を作成し、市長が12月議会に提案したのである。もちろん、谷口副市長、馬場貢健康増進部長(現副市長)らも承知のうえである。
議会で井土部長は「応募の基準は社会福祉法人に限定した」と虚偽説明し、架空法人を参入させた事実を隠した。
この議案を審査したのは、市民福祉委員会だった。委員会のメンバーは、
委員長~井上健作、副委員長~松月よし子、委員~浦伊三次、三嶋俊蔵、黒田公二、徳安建成、田中菊男。
田中議員は2016年5月に覚醒剤の使用・所持で逮捕され、辞職。
井上議員の委員長報告は、「財産の処分についての2議案は、執行部より提案理由の説明を受け、討論、採決を行った結果、全員賛成で原案通り可決」となっており、何一つ応募書類の審査をせず、現地調査もせず、市の言いなりに賛成したことがわかる。議案を採決したのは、浦伊三次議長。
なお、この市民福祉委員会は、2016年度に神在保育所の無償譲渡及び、二丈温泉きららの湯の無償譲渡の議案も審査し、可決した。応募書類の審査をせず、現地調査をせず、市の説明だけで賛成した。
⑦行政文書には無数の虚偽記載
2007年に松本嶺男前市長が井原保育所と雷山保育所を、2015年に月形市長が深江保育所と長糸保育所を、2017年に月形市長が神在保育所を民間に移管したが、すべて架空の法人を参入させていた。
全員が違法行為を認識していたわけではなかったろうが、市長、副市長、部課長、職員、元職員、行政区長など数百人が関わって、多額の財産を元市長や建設業者のお友達等に無償譲渡したのである。それぞれが自分の役割を果たし(演じ)、めでたく契約が整えば「今度も上手くいったぜ」と手を叩いて喜んだであろう。
市は違法行為に関わった職員や地域の有力者らをさまざまな要職につけ、天下りさせた。
馬場部長は副市長に就任し、谷口副市長は引退後もずっと行政区長である。井土人権福祉部長は現在、市商工会の事務局長、洞総務部長はシルバー人材センターの事務局長である。
仲西まゆみ氏は、政治倫理審査会委員、都市計画審議会委員、人権擁護委員にも就任している。
市の行政文書には、存在しないものを「ある」と偽った不正によって履歴書、申請書、決定書、議案、契約書に至るまで、名前や住所、職業…ありとあらゆる虚偽記載があふれている。
虚偽公文書の作成、行使は犯罪だが、市の違法行為を正すべき議会が見て見ぬふりをし、どんな不正もまかり通ってきた。
庶民はおにぎりひとつ万引きしても罪になるというのに、糸島市の腐敗は底なしだ。
⑧月形市長が自分の支援者の春田元市長に財産を無償譲渡したときの契約書
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参考資料
① ちよ便り20号「市役所ぐるみの犯罪」と書いたこのビラは政務活動費で作成し、2020年1月に1万枚配布したが、苦情等はきていない。
② ちよ便り10号2017年の懲罰と辞職勧告の後、作成、配布。
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