泊一環境保全組合は、行政区長らが総会を開かず10年以上も勝手に組織を運営し、農業者への出方の日当の未払い、受領書、領収書の偽造…を行っていたが、市はそれを放置している。
馬場貢副市長は、2021年9月議会から3年間、議会で「不正はない」「問題ない」と答弁してきた。すでに泊一環境保全組合に支払われた交付金は、2007年度の設立以来4千万円を超えている。
多面的機能支払交付金の不正とは何か?もう一度おさらいしておこう。
告発者へのパワハラを市と議会が放置
国への内部告発がなかったら、泊一環境保全組合は、今も農業者に日当を支払わず、総会をせずに組織を運営していたであろう。
下は組合のN会長(当時)が2020年2月、九州農政局の検査後、内部告発者に送ったメールである。九州農政局から「総会議事録がない。個々の農業者に日当を払った領収書がない。環境美化は対象事業ではない。行政区や子供会、シニア会に補助金を出すのはおかしい…」等々、検査できびしく指摘されたN会長(=行政区長)は、内部告発した住民に激怒して、これらのメールを送り付けたのである。
月形市長は、自分が任命した行政区長が「行政にチクったのはお前か?」と告発者の住民を責めたてたにもかかわらず、一連のパワーハラスメントを放置している。それどころか、そのパワハラを黙認した組合の事務局長(当時、市職員)を、人権擁護委員に推薦した。
この間、議会は本交付金の不正問題について質問する私を徹底的に妨害し、不正隠蔽に協力してきた。
2020年、国と県に偽造文書を提出した糸島市
ことの始まりは、2020年(令和2年)2月。「不正がある」と住民から内部告発を受けた九州農政局は、泊一環境保全組合を2日間にわたって検査した。
しかし、組合の会長(=行政区長)、事務局長(市職員)らは、国や県に「不正はない」と主張し、386ページもの書類を作りなおして市に提出した。その書類とは、5年分の総会議事録や委任状、決算書、領収書、日当の受領書等である。
市はそれらの書類をそのまま国、県に提出し、「問題ない」と報告した。それで国はこの件について2020年12月で終了した。
ところが、私が告発者の住民らと調べたその書類は、どれもこれも虚偽だらけだった。そのごく一部を紹介する。
90代の高齢者や死んだ人の領収書を偽造
上は一人暮らしの90代女性がやってもいない「水路泥上げ、ため池草刈」などの環境美化活動をして1万6千円を受け取った領収書。
上は他地区に転居後も環境美化活動に参加していたことにされた偽領収書。署名は他人が勝手に書いた。すでに死去した人の領収書まで作成されていたことも判明した。
亡くなった人が活動に参加し、日当をもらったことになっていたのである。
上左はシニアクラブ会員が環境美化をしてひとり2千円の日当を受け取ったという偽の受領書。この日に環境美化は行われていない。右はシニアが環境美化に参加して8千円を受け取った偽領収書。実際には支払われていない。
小学生に日当を払った「受領書」を偽造
上は小学生の子どもが環境美化で、農道やため池の草刈り、水路の泥上げをしてひとり4千円の日当を受け取ったという偽の受領書。子どもは作業に参加していない。
上は消防団員が環境美化活動で泥上げしてひとり1回4千円、合計8千円の日当を受け取ったという偽の受領書。しかし、環境美化は無報酬のボランティア活動である。
決算書・総会議事録・委任状を捏造
左の決算書は市に提出したもの。右の決算書は住民に配布したもの。泊一環境保全組合は、同じ年度の決算書を複数作成し、行政に虚偽報告をしていた。
組合は総会を開いていなかったが、2020年の九州農政局の検査後、委任状や受付簿、総会議事録等を5年度分作成して市に提出し、市はそれを県と国に提出した。実際は、組合の総会を13年間一度も開いていなかったので、これらはすべて国、県へ提出するために偽造された書類である。
泊一環境保全組合は、毎年、市から総額250万円を活動費として受け取っている。多面的機能支払交付金の年間予算は総額1億5千万円、議員や市の幹部なども利害関係者になっている。
「環境美化活動」は農業とは関係のないボランティア活動
市道の清掃
市道・県道の清掃
組合は何年にもわたり、環境美化活動を「農地維持活動」、あるいは「景観形成活動」とごまかして多面的機能支払交付金を受給してきた。
組合は今も「泊一行政区の環境美化活動は、農地維持活動。多面の事業」と主張している。(つづく)
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